しつけ教室の看板犬の柴犬のしんさんの顔写真

柴犬は犬歯が刺さる程、強く噛むことが多い犬種です。

柴犬は、遺伝的にオオカミに最も近い犬種であり、独特の行動を示します。そのため、「なぜ噛まれたか理由が分からない」という飼い主さんも多くいらっしゃいます。

柴犬の噛みつきでは、脳機能の異常が絡んだ問題行動が散見されます。人間でいうところの発達障害のように、コミュニケーション様式が他の犬と異なり、葛藤やストレスの処理が難しい個体が少なからず存在します。

柴犬の中には、自分の尻尾を噛みちぎる犬も少なくありません。自分の尻尾を噛みちぎる行動は、明らかに異常行動であり、脳機能の異常が背景にあります。

異常行動を背景にした問題行動では、抗てんかん薬や抗うつ薬などの薬物療法が奏功する場合が非常に多く、積極的に多面的な可能性を疑っていく必要があります。

どんな「しつけ」「訓練」しても治らなかった柴犬でも、柴犬の特性を理解し、適切な獣医臨床行動学的な治療を行うことで、治癒する可能性が十分にあります。

目次

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柴犬の本気噛みは治るのか?

第一に『本気噛みは治らない』というのは間違いです。当院への相談でも、「柴犬の成犬の噛みつきは治らないから、うちでは見れない」と断られたという方が少なくありませんが、柴犬の成犬=治らないと考えてしまうのは違います。

当院での相談については、ほとんどの症例で、噛まれずに安全に生活できるようになります。

また、薬物療法が奏功する例では、治療を開始後に大きく行動が変化することがあります。当院では、柴犬の噛みつきの相談では、約5~6割で薬物療法を併用しています。

当然、薬物療法だけを実施しても効果は薄く、生活環境の設定の見直しや、攻撃を発生させるような接し方の改善も同時に行うことで、相乗効果を生むことができます。

柴犬の攻撃性につながる行動特性

最もオオカミに近い犬『柴犬』

柴犬は、遺伝的にオオカミに最も近い犬種であると言われます。それはすなわち、最も野性的であり、家畜化の程度が低い犬であるといえます。人への依存性や、人との親和性が低く、独立心が強いため、自分の気に入らないことに対して、抵抗する程度が強くなります。そうした自我の強さが、攻撃が発生しやすさに影響しています。

人が扱いやすい犬を選抜して品種改良されてきた洋犬と違い、柴犬は人に馴れやすい個体を選抜するという品種改良があまり行われてきていません。そのため、人が扱いにくい、衝動性の高い遺伝子が、遺伝子プール内に多く残されており、そうした遺伝子を受け継いだ個体について、攻撃行動・不安行動・葛藤行動等に関わる問題行動が生じやすくなっていると考えられます。

【リンク】柴犬の特性と噛みつきの原因

柴犬の本気噛みには『異常行動』が伴うことが多い

異常行動とは、正常な犬では発生しない行動のことを指します。柴犬でよくある異常行動は、尾追い行動です。中でも、自分の尻尾を咬みちぎってしまう柴犬も少なくありません。

自分の尻尾を噛みちぎるという、ショッキングな行動を起こす背景には、衝動性の高い遺伝子、葛藤に弱い遺伝子の存在があると考えられます。柴犬の噛みつきについても「私のしつけが悪かった」と感じている飼い主さんも少なくありませんが、そもそも遺伝子のレベルで、異常行動の発生のしやすさはかなり決まっていると考えて差し支えないでしょう。

異常行動の例

  • 前触れもなく突然機嫌が悪くなる
  • 一点を見つめて動かない
  • 日によって、気分の波が激しい
  • ゴハンを食べた後に急に攻撃的になる

などの行動は、行動の前後関係の脈絡がない、あるいは、行動の程度として過剰であり、異常行動である可能性があります。

異常行動は、脳の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、グルタミン酸、γアミノ酪酸などの代謝や、その受容体が特異であったり、シナプス結合が特異であることで発生する可能性があります。

人間の発達障害と同じように、脳と行動の特性であり、一定の割合で行動やコミュニケーションに特徴のある犬が生まれます。柴犬はその頻度が高く、そうした犬では攻撃行動のリスクが高くなります。

【リンク】柴犬の噛み癖は”しつけ”の問題ではなく”脳”の問題!?

柴犬の行動に関する研究

 飼育下の犬の行動特性を犬種間で比較した研究では、柴犬を含む原始的な犬のグループは、他のどの犬のグループよりもヒトへの愛着が低いことが示されています。柴犬は飼い主以外には懐かないとよく言われますが、ヒトへの愛着の低さという特性が現れた結果と言えます。

 社会的認知能力の犬種差を評価した研究では、餌を容器で覆い容器を固定した状態にし、イヌが餌を食べることができない状態にして(解決不可能課題)、イヌがヒトを見るまでの時間、ヒトを見ている時間、ヒトを見る回数、交互凝視の回数を測定した結果、柴犬を含む原始的な犬のグループは、他の犬種よりもヒトを見る回数が少ないことが分かりました。イヌ自身で解決できない課題を人に頼って解決してもらおうとする行動は、ヒトへの依存性を表していますが、この依存性が低いという解釈ができます。一般に、家畜化の程度が高い動物ではヒトへの依存性が高まります。犬種間で比較したときに、遺伝的にオオカミに近い柴犬が、ヒトへの依存性が低いという結果は、家畜化の程度が低いという解釈に一致すると言えます。

【参考】https://ci.nii.ac.jp/naid/500000993845

柴犬の子犬の噛み癖の原因

柴犬の子犬は良く噛みます。柴犬は他の子犬よりも興奮したときに口が出やすい傾向にあります。且つ、触られるのが苦手な子が多く、抱っこしたり、撫でるだけでも噛みつきが発生します。柴犬はもともと撫でられるのが好きではない犬種なのですが、柴犬をいっぱい抱きしめて、いっぱいなでなですると、「これ以上触るな!」という意味での攻撃が発生します。

柴犬の子犬の噛みつき7パターン

柴犬の子犬の噛みつきは、おおよそ以下の7パターンに分けられます。

詳しくは以下の記事をご参照ください。

【リンク】子犬のひどい噛み癖の7タイプ別、原因としつけ方

柴犬の成犬の攻撃行動(本気噛み)の原因

 当院のような行動診療科において、攻撃行動の相談を受ける犬種は柴犬が圧倒的に多いです。2022年度の当院の初診(オンライン相談を含む)235症例中、柴犬は74症例(31.5%)を占め、うち53症例(71.6%)が家族に対する攻撃行動でした。

 攻撃行動の動機づけとしては、葛藤性攻撃行動(34症例/53症例:64.2%)や、防御性攻撃行動(25症例/53症例:47.2%)が多いです。葛藤性攻撃行動や防御性攻撃行動は、飼い主の接し方次第で起こりやすい攻撃行動で、叱責・体罰・威圧的な態度や、無理やり抱っこする、執拗に撫でる、嫌がっているのに足ふきをするといった対応により攻撃を生じます。

 前述の通り、柴犬は他の犬種に比べヒトへの愛着が低いと言われ、他の犬種に比べスキンシップ・接触刺激が不快刺激となる個体が多いです。それに加えて、葛藤を生じた際に攻撃に転じやすいと考えられます。

 食物関連性攻撃行動は、19症例(35.8%)で生じていました。食物関連性攻撃行動は、フード・フードボウル・ガム・嘔吐物等が目の前にある状態でその食物を守ろうとして、あるいは食べた直後に生じる攻撃行動です。柴犬では食べた直後に攻撃が生じる例が他の犬種に比べ多く、食前は咬まれる危険を感じないのに、食中や食後10分~60分程度、近づくと吠え掛かられる、あるいは、攻撃を受けるという状況に陥ります。

 食物関連性攻撃行動を生じる犬では、必ずしも食欲が強いわけではなく、むしろ、フードボウルを置かれてもすぐには食べず、しばらくしてから食べるという状況もみられます。これは、犬が所有した食物資源に高い価値を感じながらも、周囲の家族にその資源を奪われるかもしれないという不安から葛藤を生じ、結果として交感神経の高ぶりから、食欲が低下していると考えられます。フードボウルを目の前にすることで、家族への攻撃ではなく、尾追い行動を生じる柴犬も少なくありません。

 攻撃行動のある柴犬の飼い主からは、「いつもは大丈夫なのに、日によって性格の差が激しく攻撃を受けてしまう」「笑顔の時は大丈夫だけど、目が座っている日があって、そういう日は危険」といった声を度々耳にします。こうした変化は、その日の体調や気分の波によって生じているものと考えられるため、第一に身体的な疾患の関与を疑うべきですが、必ずしも身体的な検査により原因を特定できるわけではありません。薬物療法がこのような気分の波を落ち着かせ、攻撃の頻度や程度を低下させることがあるため、獣医師の診断を受けて、適切な治療を実施しましょう。

【リンク】柴犬の攻撃行動の本当の原因とは

本気噛みの原因を分析する3つの視点

本気噛みの原因はひとことでは表せませんが、主に以下の3つの視点から分析していきます。

犬が噛む目的

第一に、犬が噛む目的を検討します。犬が噛む目的とは、「自分の身を守るため」「嫌な事を避けるため」「大切な資源を守るため」「期待が満たされなかった葛藤について八つ当たりするため」など、犬が噛む行動を起こすことでどのような利益を得られているのかという観点から考えます。

犬が噛む目的がわかれば、その目的を生じさせないような対応を行うことができます。目の前に置かれたフードを守るために攻撃している場合、目の前にフードを置かず手からフードを与えるようにすれば、大切な資源を守る必要がなくなります。

身体機能・脳機能の状態

第二に、柴犬の特性で触れたように、脳機能の状態について、葛藤に弱い、衝動性が高いなどの個体の特性がないか検討していきます。また攻撃行動に関与しない部分においても異常行動が認められないか精査します。

身体的な疾患に伴う痛みや不快感が攻撃につながることもあります。そのため、身体的な問題がないかどうかを調べていくことも重要です。

噛みつきに関連する学習

最後に、噛みつきに関して、どのような学習により発生してきているのかを検討します。特にどんな刺激が攻撃の原因になっているかを精査します。

例えば、触ろうとすると噛むという相談であっても、家の中で触ろうとすると噛むけど、家の外だと噛まないということはしばしばあります。リードをつけようとすると噛むという状況も、毎回起こるわけではなく、特定の状況でリードをつけようとすると嫌がるのかもしれません。

このような、行動がどのような文脈で発生しており、何がきっかけとなる刺激になっており、どんな状況なら発生しないのかを把握できれば、改善の手立てを得ることができます。

【リンク】犬が飼い主を噛む理由と治し方|獣医行動診療科認定医が解説

柴犬の本気噛みの治療法

①攻撃の原因の分析

ゴハン関連で攻撃が発生している場合と、身体のケアで攻撃が発生している場合では、対応策は違います。身体に触れたときに攻撃するという場合であっても、唸ったり鼻に皺を寄せて警告してから噛む場合と、そうした前触れなく突然噛む場合では対応が異なります。

このような攻撃行動が発生するきっかけとなっている状況や、行動の文脈を理解することが対策の第一歩です。行動のきっかけや、噛みつきが起こる文脈が分かってくれば、噛みつきが発生しないような生活プロセスをとることができます。

しかし、中には、いつもは大丈夫なのに、特定の日だけ攻撃的になるといったような、行動の文脈、刺激と行動の前後関係だけでは噛みつきの原因がわからない場合も存在します。例えば、雨の日には噛むけど、晴れの日には噛まないという犬もいます。明らかに雨の日に危ないということであれば、低気圧により頭痛のような状態になっている可能性もありますし、雨の日や湿気に関連して嫌な思い出があるかもしれません。

原因を見極めた上で、正常な防衛行動として攻撃行動であれば、飼い主の接し方の改善や安心できる居場所の設定といった行動学的な対応策を中心に行います。異常なレベルの興奮、緊張、恐怖、不安、衝動性が関連している場合は、薬理学的な対応策と行動学的な対応策を併用します。

【リンク】柴犬の攻撃行動への対応法

②攻撃の必要性をなくす

攻撃の原因の分析を行うことで、「犬がその攻撃を必要としている理由」が分かると思います。攻撃は人に対するメッセージです。「それ以上触るな!」「拘束するな!」「フードを奪おうとするな!」「近寄るな!」などの意図があります。つまり、犬は、攻撃を必要としているわけです。

では、どのようにしたら犬は攻撃を必要としなくなるのか?を考えます。

例えば食物関連性攻撃行動の場合、フードが目の前に置かれるからこそ、犬はそのフードを守らなければならなくなります。自分の資源だと認識するから守るんですね。では、フードを目の前に置かず、フードボウルを手に持ったまま、少しずつ与えるようにしたらどうでしょうか?犬はフードを自分の資源だと認識しないので、守る必要がなくなります。守る必要がなければ攻撃も発生しません。

このように、犬が攻撃を必要としている理由に注目して、その理由が発生しないようにするという形にすると、攻撃を発生させずに済みます。

③薬物療法の併用

柴犬の本気噛みの場合、一般的なしつけを行うというイメージではなく、脳の過敏性・衝動性を抑えるための行動学的・薬理学的治療を行うというイメージを持った方がいいでしょう。

脳の過敏性・衝動性は、脳神経の働きの状態により変化します。柴犬では、生まれつき興奮性・過敏性・衝動性が高い個体の割合が多く、普通にしつけを行ってもうまくいかないことはしばしば見られます。そうした性質が強く出ると、異常に強い本気噛みや、尻尾を咬みちぎるといった異常行動として表出されます。

そうした個体に対しては、薬物療法によって、脳の過敏性を下げ、不安や恐怖を感じにくくする治療の大きな助けになることがあります。

一方で、薬物療法については、不安に感じる方も少なくないでしょう。人格が変わってしまうのではないか、元気がなくなってしまうのではないんかなど、愛犬を大切に思っている飼い主なら懸念するところだと思います。特に、「長期的に使わなければならないのではないか…」という不安は強いように感じます。

当院では、あくまでも飼い主の皆様に使用するかどうか、継続するかどうか、じっくり話し合って決めていただいています。攻撃行動に対する薬物療法は、個体差がそれなりにあるため、使ってみないと、主作用も副作用もどの程度出るかわかりません。そのため、「1か月だけ使ってみて、良い効果が得られれば続ける、副作用が出ればやめる」という方針で処方するようにしています。また、攻撃行動が落ち着いたら、徐々に減薬していきます。決して、一度使ったら絶対使わなければならないというものではありません。詳しくは獣医師にご相談ください。

【リンク】薬物療法って大丈夫なんでしょうか?副作用や止められないリスクは?

④環境修正と行動修正

柴犬の本気噛みでは、その危険度から薬物療法の検討を先に書きましたが、前提として、環境修正と行動修正が治療のメインであり、薬物療法はあくまでも補助と考えておくとよいでしょう。

しかし、非常に緊張度の高い状態では、環境修正や行動修正の成果が出にくいことから、薬物療法である程度過敏性が下がった状態で、環境修正や行動修正に取り組むことが肝要です。

攻撃行動の原因を分析して得られた、攻撃行動の目的や、攻撃のきっかけとなる刺激の状況をもとに、犬が攻撃を発生させなくてもよい環境や生活を提供していきます。

具体的には以下の記事をご参照ください。

犬が攻撃するとき、その犬もまた攻撃されている

犬が噛む行動をとるということは、その犬は何かに追い詰められており、安心できない状況にあるわけです。

日々安心できない状況にあれば、攻撃は発生しやすくなりますよね。

逆に、生活環境を変えたり、飼い主と一緒にトレーニングを行っていき、不安な状況がなくなっていけば、犬が飼い主との関係に安心感を覚え、生活のパターンに不安を感じなくなり、結果として攻撃行動が発生しなくなります。

具体的な対処法は、以下の記事をご参照ください。

【リンク】犬の「本気噛み」をやめさせる対処法8選【獣医行動診療科認定医が解説】

【リンク】柴犬の子犬の噛みつきの動機と種類

【リンク】柴犬の子犬の噛みつきの対処法

治せるかどうかは、知っているかどうか

犬の噛み癖には様々な情報が錯綜しています。「人が犬の上に立たないと噛み癖は治らない」というような俗説を、その意味もよくわからないまま信じてしまっている飼い主も少なくないでしょう。

犬の噛み癖を治すのは、科学的なアプローチであり、気合と根性で治るものではありません。「人が犬の上に立つ」という方法が絶対的真実で、他の方法はありえないと思ってしまえば、治る方法があるのも関わらず、その選択肢を知ることもできず、噛み癖を治すこともできません。

きちんと治る方法を知っているか、知っていればなんてことはなく治せるものが、知らないために治せないということがあるわけです。だから、悩んでいる飼い主さんに知ってほしいと思っています。あなたの愛犬に合わせた、治る治療法を行えば、治すことができる、心穏やかに暮らすことができるのです。

柴犬の問題行動改善としつけのポイント

犬と一緒に歩くためには?楽しい飼い主になろう!

噛みつきに対して、体罰的なしつけが否定される理由

家庭の犬達は、動物福祉の5つの自由が守られている?

相談できる獣医師の探し方

柴犬の噛みつきに悩んだ時、頼れる専門家に出会えるかどうかが運命を分けるといっても過言ではありません。血を見るような攻撃行動では、身体的な問題の除外や、薬物療法の併用も選択肢であり、行動学を学んだ獣医師に相談することが肝要です。以下のリストは、日本獣医動物行動研究会が提供している、相談できる全国の獣医師のリストです。ぜひ参考にしてください。

獣医行動診療科認定医紹介 | 日本獣医動物行動研究会

獣医行動診療科認定医とは 獣医動物行動学(動物行動学および臨床行動学)に精通し,行動診療を行うために必要な専門知識と技術,十分な診療経験を有しており,獣医行…

柴犬の本気噛みの治療の流れ(当院の場合)

カウンセリングと行動確認による、本気噛みの原因の分析
飼い主さんに対する入念なカウンセリングと、ビデオや実際の攻撃の状況を確認することによって、本気噛みがなぜ発生しているか原因を突き止めていきます。攻撃行動発生の前後関係によって、何がきっかけで、どのような感情から攻撃が発生しているか推測していきます。
身体疾患の鑑別
カウンセリングの内容から、身体的な疾患が関与していないか検討していきます。例えばホルモンの病気である甲状腺機能低下症は攻撃行動が併発することがしばしば確認されますし、神経疾患があれば痛みや知覚の異常から攻撃行動が発生することがあります。
異常行動の有無の検討
カウンセリングの内容から、柴犬に異常行動が見られないか確認していきます。異常行動とは、正常な犬の行動を逸脱した脈絡のない行動や、異常な頻度・程度の行動を指します。

何も刺激がないのにいきなり尻尾を追って回転する行動や、急にぼーっとして一点を見つめる行動、空中にハエがいるかのように口をパクパクさせる行動などです。異常行動がある犬の場合、それが攻撃行動の発生に直接・間接に関与している可能性があります。
行動学的診断と原因の説明
これまでの情報から、行動学的な診断を付けていくと同時に、どのような原因で本気噛みが起こっているのかを飼い主さんに解説していきます。飼い主さんが気づいていないような原因が本気噛みの原因になっていることも少なくありません。

特に柴犬では、他の犬よりも過敏性が高かったり、表情が読みにくく、突然攻撃されたと感じることが多くありますので、飼い主さんにその理由を理解していただくことには重要な意味があります。

また、身体疾患の疑いがあれば必要な追加検査を行います。異常行動がみられる場合、本気噛みの原因として脳機能の異常を強く示唆しており、それを考慮に入れて対応を検討する必要があります。
具体的な対応策の提示
原因に対して、具体的な対応策を提示します。飼い主さんのかかわり方や環境が原因となっている場合は、かかわり方の改善や生活環境の見直しを提案します。攻撃行動を強く学習しすぎていて、飼い主さん自身での対応が難しい場合は、預かりによるトレーニングを提案する場合もあります(飼い主さんが強く希望する場合のみ)。強い恐怖や葛藤による攻撃の場合は、薬物療法も選択肢の一つとなります。

柴犬の場合、食物関連性攻撃行動が他の犬種に比べ発生しやすい傾向にありますが、食物関連性攻撃行動が発生した際には、食餌の与え方により大きく改善することがあります。さらに、柴犬では、薬物療法が奏効する犬が多く、特に飼い主さんが流血しているような症例では、薬物療法の併用を提案することが多いです。
継続的なフォローアップ
具体的な対応策については、実際にやってみたうえで効果を判定していく必要があります。やってみようとしたけど、いろいろな理由でできなかったということも考えられます。フォローアップでは、LINE相談と、再診により、飼い主さんの対応の進捗状況を把握して、飼い主さんと二人三脚で、一つずつ問題を解決していくようにしています。
治療の終了
本気噛みの発生がなくなり、安定した生活を送れるようになったら、治療を終了します。

柴犬の本気噛みの緊急の対応について

触れない、近づけない、世話ができない、噛まれて縫った・骨折した等、緊急的な対応が必要な場合、メールか電話でご連絡ください。柴犬の攻撃では、飼い主さんがかなりの重傷を負われることも少なくありません。また、リードが外れてしまった、捕まえることができないといった相談も対応しております。

往診範囲は岐阜県岐阜市を中心に200キロ圏内(日帰り可能な距離:岐阜・愛知・三重・静岡・滋賀・京都・富山・石川あたり)を目安としておりますが、それ以外の地域の場合も個別に対応について検討しますので、一度ご相談ください。

直接うかがえない遠方の場合、オンライン相談の後、対応できる獣医師等の専門家を探すなど対応法を検討いたします。一時的な預かりも含めて、解決する方法をご提案いたします。

まずは、お電話でも構いませんので、ご相談ください。

(ぎふ動物行動クリニック 獣医行動診療科認定医 奥田順之)

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柴犬の飼い主さま(噛みつきの相談)の声

柴犬の飼い主様の声
この様な日が来ること予想できませんでした(柴犬の飼い主様より)
柴犬の飼い主様の声
本当に感謝の気持ちでいっぱいです!(柴犬の飼い主様より)
柴犬の飼い主様の声
誰も責めないで、ただみんなが幸せに暮らせるように考えてくださったことをとても感謝しております(柴犬の飼い主様より)

柴犬の問題行動としつけ相談例

いつもは良い子なのに、日によって機嫌が変わる

抱っこできない、近づくと唸る、噛む

物を守って噛む

夜中に吠える

帰宅時・食餌中に家族に噛む

食餌の前後で攻撃的になる、突然噛む

尻尾を追う・唸りながら尻尾を噛む

柴犬の認知症(高齢性認知機能不全)

攻撃行動以外の問題行動の種類と対応・しつけ

柴犬の常同障害(しっぽを追う・噛む)

柴犬の認知症(高齢性認知機能不全)

犬の分離不安(留守番できない)

動画・著書の紹介

動画で治療の概要を紹介しています

院長奥田獣医師の著書もご参考に

犬の咬み癖解決塾


柴犬しつけ&噛み癖研究所とは?

柴犬噛み癖研究所では、日本で最も咬傷事故が多いけど、とっても愛すべき存在である柴犬について、その行動と生態、そして柴犬特有のしつけについて研究し、飼い主さんと柴犬の共生をサポートする研究所です。

ぎふ動物行動クリニックでは、毎日のように柴犬の問題行動の相談を受けています。愛知県や岐阜県では柴犬の飼育数が他地域に比べて多い様です。土地があるので持ち家が多く、企業が元気なので所得が比較的高いので、犬の飼育率が高く、外で飼う方も含めて柴犬の飼育率が高いようです(正確な統計はないのです)。

ぎふ動物行動クリニックの診察の中で、柴犬の相談が非常に多い現状を日々肌で感じています。そして飼い主さんのサポートをする中で、しつけに関する勘違いや、柴犬の攻撃行動に対する迷信が事態を悪化させ、家族の身体と心を傷つけている現場に幾度となく出会いました。保健所への放棄をするか真剣に悩み、相談に来られた飼い主さんも少なくありませんでした。

私はこうした柴犬に対する迷信や、体罰を中心とした古いしつけの考え方ではなく、適切な情報を得られる機会を作ることで、多くの柴犬の飼い主さんが、愛犬を再び愛せるようにしていきたいと考えています。咬む咬まれる関係ではなく、信頼し合える飼い主さんと愛犬になって行くサポートをしたいと考えています。

そこで、私は『柴犬しつけ&噛み癖研究所』と題して、情報発信をするべく、本サイトを運営しています。
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