犬が飼い主を噛む理由は様々です。成犬の「本気噛み」の場合、多くは物を守る・身を守るための防衛的な理由が中心ですが、自分の気に入らないことが起こることで攻撃する葛藤性攻撃行動も見られます。
一方で、特に血が出る程、縫うほどの傷になる場合、必ずしもこういった「しつけの問題」だけではなく、身体の疾患や、脳機能の異常でも、攻撃的な噛みつきが発生することがあります。
本記事では、犬の深刻な咬みつきの原因と治療について解説します。
ぎふ動物行動クリニックによる問題行動診療
ぎふ動物行動クリニック(岐阜県岐阜市)は、獣医行動診療科認定医の奥田順之が院長を務め、全国で唯一、行動診療専属の獣医師が2名、CPDT-KA資格を持つトレーナーが2名在籍する、行動治療専門の動物病院です。
岐阜・愛知を中心に診察・往診を行うとともに、全国からの相談に対応するために、オンライン行動カウンセリング、預かりによる行動治療を実施しています。
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お問い合わせ子犬と成犬の噛む理由の違い
生後6ヶ月未満の子犬の噛みつきと、1歳以上の成犬の噛みつきでは、意味合いは大きく違います。
子犬 | 成犬 | |
よくある噛みつきの例 | 飼い主のズボンのすそを引っ張る 引っ張りっこの最中に手も噛む 飼い主が携帯を見ていると噛む 走り回って興奮して噛む | ブラシをしようとすると噛む 抱っこしようとすると噛む フードを守って唸る・噛む 飼い主が部屋を出ていこうとすると噛む |
噛みつく目的 | 飼い主の関心を引くため 遊びの中で偶発的に噛む | 嫌なケアをやめさせる 人の行動をコントロールするため |
感情 | ポジティブな感情が中心 | ネガティブな感情が中心 |
子犬の場合は、その多くが飼い主の関心を引くためや、遊びの中で発生する行動です。そのため、子犬には飼い主に危害を加えるつもりはなく、歯がとがっているために偶発的に飼い主に怪我を負わせてしまうケースが多いです。
成犬の場合は、多くが「嫌なことを避ける」「自分の大切な資源を守る」「期待した結果が得られないことの苛立ち」など、ネガティブな感情から、相手に危害を加えることを意図して行われる攻撃が主です。「ブラシをやめさせる」「足ふきをやめさせる」など、攻撃することで、人の行動をコントロールしようとする場合や、イライラした感情を抑えられずに八つ当たり的な攻撃に出ることもあります。
もちろん、子犬でも、成犬のようにネガティブな感情から、相手に危害を加える意図をもって行われる攻撃もありますし、成犬でも遊び関連の攻撃を行うことがあります。
いずれにしても、特に深刻な攻撃になるのは、ネガティブな感情を伴う攻撃であるため、本記事ではそちらの解説を進めていきます。
子犬の噛みつきについては、以下の記事を参考にしてください。
【リンク】子犬のひどい噛み癖の7タイプ別、原因としつけ方
成犬の噛みつきは、複数の要因の複合で発生
成犬の場合、遊びや関心を引こうとして噛む行動は徐々に少なくなる一方、自分の身体や資源を守るための防衛的な理由や、期待した結果が得られない怒りにより攻撃することが多くなっていきます。
しかし、犬が飼い主を噛む理由は、「資源を守るため」「身を守るため」「飼い主を威圧するため」といった理由だけではありません。例えば「身を守るための攻撃」は、身体に痛みがある状態では発生しやすくなります。
この時、犬が飼い主を噛む理由として、「身を守るため」という理由と、「身体に痛みがあるため」という理由は、共に正解です。また、「以前に噛んだら飼い主が足ふきをやめてくれた」ことで学習して噛みつきが増加してるかもしれず、これもまた正解です。
大切なのは、「犬が飼い主を噛むたった一つの理由」というものは存在せず、複数の要因が絡み合って発生していることを理解しておくことです。
噛みつきの要因5つのカテゴリー
犬が飼い主を噛む理由には様々なものがありますが、おおよそ5つのカテゴリーに分類することができます。
- 身体機能や脳機能の問題
- 遺伝や生育環境による基礎的気質の問題
- 犬が何らかの目的を達成するため
- 飼い主の接し方・犬とのかかわり方の問題
- 攻撃行動の学習
①体の病気や痛み
まず、身体的な疾患(痛みのある疾患、不安を強める疾患、脳神経に影響をおよぼす疾患)があれば、そうした痛みや不快感が噛む理由となっていることがあります。
身体的な痛みが原因で噛むことを疼痛性攻撃行動と呼びますが、痛みがあることに気が付かなければ「なぜ噛むのかわからない」という状態に陥ってしまいます。身体的異常があれば、身体の治療を優先して実施します。
獣医行動診療科では、噛む行動の裏に身体的な異常がないか精査し、様々な所見から身体疾患の可能性が疑われる場合は、かかりつけ医や他の専門科と連携して精密な検査を行います。
【リンク】犬の噛み癖を引き起こす可能性のある身体疾患5選
痛み・不快感
身体のどこかに痛みや不快感がある場合、その部分を触られたくないという気持ちから、噛むことがあります。急に噛むようになった場合などは、身体的な異常が隠れている可能性が強くなります。
神経や感覚の異常
神経の疾患や、感覚の異常により攻撃が発生することがあります。子犬であれば、先天的な神経疾患が疑われますし、老犬であれば目が見えにくくなった、耳が聞こえにくくなったという感覚異常から不安が増大し噛む行動が増えることがあります。
犬の認知症(認知機能不全症候群)
老犬では、犬の認知症(認知機能不全症候群)により噛む場合もあります。犬の認知症では感情の起伏が大きくなったり、身近な人を認識できなくなるという症状もあり、そうした症状を原因として噛む行動が発生することがあります。
てんかん(焦点性発作)
一部のてんかん(焦点性発作)では、行動の異常がみられることが知られています。人間であれば、突然、場にそぐわないような怒り方を繰り返す場合、てんかんによっておきる感情障害や発作のことがあります。
人間と同じように、てんかんにより怒りっぽくなり攻撃する犬もおり、実際に、抗てんかん薬による治療が奏功する場面が多くあります。
身体疾患への対処法
身体疾患の存在の有無の確認は、獣医師による診察を受けましょう。問題行動に関係した身体疾患の精査では、獣医行動診療科の方が、行動の問題と身体の問題の関連を深ぼって調べることができるでしょう。
②脳機能の異常
脳機能の異常により、問題行動が発生することはしばしばあります。脳機能の異常による問題行動とは、正常な行動の範囲を逸脱した行動がみられる場合(異常行動がみられる場合)を指します。
異常行動は、正常な範囲を逸脱した程度や頻度の行動、あるいは、本来その動物が行わない行動を指します。脈絡のない行動で、突然起こる行動などは、正常ではなく、異常な行動ということになるでしょう。
【異常行動の例】
- 特になんの刺激もないのに、不安を示し続ける
- 自分の尻尾をかじってしまう、噛み切ってしまう
- 特定の場所をなめ続ける
- 日によって性格が違う/時々目が座っている日がある
- 特定の場所を見つめて動かないことがある
- 何もないのに、ハエを捕まえるように、口をパクパクさせることがある
脳機能の異常に対する適切な対処法
異常行動がある場合、一般的なしつけを行っても、改善するのは難しいでしょう。まずは異常な状態にある脳機能の働きを整えるために薬物療法を実施します。合わせて生活習慣を改善する(欲求を満たす、しっかり運動する)ことにより、脳機能や自律神経の働きを落ち着かせることが必要です。
愛犬の問題行動が正常の範囲か、異常の範囲かということは、一般の飼い主さんでは判断は難しいでしょう。獣医行動診療科をはじめとした専門家に相談することで、薬物療法の適用範囲内かどうか確認すると良いでしょう。
【リンク】柴犬の噛み癖は”しつけ”の問題ではなく”脳”の問題!?
③交感神経の過剰な緊張
交感神経とは、自律神経の一つであり、主に、身の危険を感じたときに働き、心拍数を増加させたり、血圧を上げたり、脳の反応を高めたりして、天敵から身を守ったり、戦ったりする力を引き出す機能があります。
交感神経の反対の機能を持つ副交感神経は、動物をリラックスさせ休息させる作用があります。
交感神経と副交感神経のバランスがとれていれば、落ち着いた生活ができますが、交感神経が過剰に高ぶった状態が持続すると、常にピリピリして緊張した状態になります。犬で交感神経の過剰な緊張が起こると、うまく休息が取れず、小さな刺激に過剰に反応し、吠えやすくなったり、少しの刺激で攻撃するようになったりします。
交感神経の過剰な緊張への対処法
自律神経をととのえるには、しっかり動き、しっかり休む、メリハリの効いた生活を送ることが第一です。
そのためには、①散歩などの運動をしっかりすること、②犬が自分一人で休めるプライベート空間を用意すること、の2つが重要です。散歩は特に朝日を浴びて目から刺激を取り入れて、活動ー睡眠サイクルをととのえる働きがあります。
適切な運動と、適切な休息だけで対応できない場合は、一般薬による薬物療法や漢方薬の使用も効果があります。
④生まれつき攻撃行動を生じやすい遺伝子を持っている
「犬が飼い主を噛むのは、しつけが悪かったから」と考えがちですが、家に来た段階で噛みやすい犬と、噛みにくい犬は決まっています。同じように育てても、何やっても咬まない犬に育つ犬もいれば、ちょっとしたことで噛みつくようになる犬もいます。それだけ遺伝的な差とは大きなものです。
当院での噛みつきの相談では、圧倒的に柴犬の相談が多いです。2番目にトイプードルですが、トイプードルはそもそもの飼育頭数が多いということも影響しているでしょう。
柴犬やトイプードルを見ていても、柴犬の中でも刺激への過敏性の差は非常に大きく十犬十色です。しつけ教室のパピークラスに来た段階で大幅に違うわけですが、生後2か月でペットショップに来た段階ですでに触れない犬は触れないのです。当然、家に迎えたあとには、問題行動が頻発することになります。
個体によって、性格の差が出るのは自然の摂理であり、仕方のないことなのですが、大切なことは、犬はみんな同じように扱えると考えてしまうのではなく、その子それぞれの個性に合わせて対応してあげる必要があるという認識を持つことです。
攻撃的な遺伝的形質への対応
攻撃的な遺伝子を増やさず、穏やかな遺伝子を選抜していくことは飼い主にはできません。ブリーダーやペットショップの責任になります。
飼い主にできることは、特定の犬種の特性をしっかり理解した上で、その犬種を迎えるということです。特に柴犬を迎える方には、柴犬はかなりしっかり咬む可能性があるということを認識した上で、迎える決断をしていただきたいです。
【リンク】柴犬特有の噛み癖の原因7選
【リンク】トイプードルの本気噛み3つの特徴と治療法
⑤劣悪な生育環境
不安を感じやすい気質や、衝動性の高い気質は、遺伝することが知られています。ブリーダーのレベルでそうした気質を次世代に受け継がせないように、不安傾向の高い親は交配しないことができればいいのですが、現在の日本のブリーディングでは、形(スタンダード)を守ることが優先され、性格までは十分に評価されていません。
また、多くの哺乳類に共通することですが、妊娠期の母犬にストレスがかかると、母犬のストレスホルモンが子犬に影響し、出生後ストレス耐性の低い子犬に育ってしまうことが知られています。
さらに、出生後、母親が十分に育子行動をとらない場合も不安傾向の高い子犬に育つ傾向があります。人や他の動物でも同じですね。
また生後4~12週の社会化期には、様々な刺激を吸収して社会性を身に着けていく段階ですが、この時期に何の刺激もない空間に閉じ込められると、適切な社会性をはぐくめず、将来的にストレスに弱い犬に育ってしまいます。
劣悪な生育環境への対処法
これらは、過去に起こった原因であり、過去そのものを変えることはできません。
しかし、成犬になったからといって、社会化を促進したり、ストレス耐性を高めたりすることが不可能なわけではありません。
重要なことは、怖がりやストレスに弱い性格をもっていても、「かわいそうだから外に出さない」「かわいそうだからチャレンジさせない」というような対応をしないことです。例えば散歩が苦手な犬でも、本人が不安そうな顔をしていたり、落ち着かなくても、散歩には少しずつ行くべきです。毎日の散歩をすることで少しずつ心が成長していきます。
トレーニングスクールに通うことや、ノーズワークを行うことによっても怖がりな性格を克服していくことができます。犬は何歳からでも成長できることを意識して、犬の心を成長させる働きかけを行っていきましょう。
【リンク】子犬の社会化ってなんだっけ?
⑥自分の身を守る/嫌なことを避けるため
犬が飼い主を噛む目的の多くが、自分の身を守るため、嫌なことをされないようにするためです。
この『自分の身を守るため』や『嫌なことを避けるため』という理由は、行動の目的を指しています。『劣悪な飼育環境』は攻撃行動が起こるようになった発達の背景を指しています。噛む理由を考える上では、全く視点が違いますが、共に咬む理由となりえます。
自分の身を守る/嫌なことを避けるための攻撃は、最もメジャーな攻撃の目的と言えます。抱っこされるのが嫌、撫でられる/触られるのが嫌、ブラシをかけられるのが嫌、首輪をつけられるのが嫌といった内容はすべてこのカテゴリに含まれます。
こうした行動は、攻撃が成立して、実際に嫌なことを避けられたという経験を繰り替えすことで、攻撃行動が定着しやすい傾向があります。
【リンク】リードの付け替え、抱っこで唸る、噛む|1歳トイプードル
【リンク】抱っこできない、寝ている犬に近づくと唸る
⑦資源を守るため
犬は自分の資源を守るために攻撃します。
資源とは、ゴハン、おもちゃ、居場所、飼い主の関心、ご褒美の優先権など、様々です。要は犬が価値を感じているものを守るために、人間や他の動物との間で攻撃行動が生じることを指します。
診断名としては、所有性攻撃行動や、食物関連性攻撃行動という名前が付きますが、実際は、犬が価値を感じているものについてのアクセス権が他者と競合している状況であれば、発生し得ます。
【リンク】物を奪い執拗に守る
【リンク】犬用ガムや、価値の高い食事・餌を守って唸る・噛む
⑧強い葛藤状態を引き起こす状況
- 目の前に価値の高いフードがあるのに、飼い主に見られて安心して食べられない
- 飼い主に理不尽に叱られ、ハウスに入ることを強要された
などの場面では、犬は「食べたいけど食べられない」「ハウスに入りたくないけど、入らなければならない」といったどっちつかずの葛藤状態に陥ります。強い葛藤は攻撃行動の引き金になります。
これまでに挙げたような、体罰や撫ですぎは、葛藤状態を引き起こす原因になります。生まれ持った性質や社会化不足の影響で、葛藤の処理能力が低い個体を、葛藤が生じやすくなる状況に置くことは非常にリスクがあります。
葛藤を生じさせずに、落ち着いた行動がとれるようにするためには、トレーニングによる練習が不可欠です。『ハウスに入りたくないけどおやつは欲しい』という状態の犬でも、ハウストレーニングをすることで、『ハウスに入るのは嫌じゃないし、おやつももらえてラッキー』という心理状態に変化させることができます。
⑨無理やりケアした経験
- 無理やりブラシをする
- 無理やり足ふきをする
- 無理やり物を取り上げる
など、犬に対して、無理やり○○するという経験は、飼い主に対して嫌悪感・恐怖心を関連付けます。子犬のうちは、身体が小さく力も弱いので、無理やりにケアをすることもできますが、成長すると、身体も大きくなり本格的に抵抗するようになっていきます。
いったん関連づいた嫌悪感や恐怖心を取り除くには、相当の時間を要します。嫌がるようになってから、オヤツを使っても遅いです。オヤツを食べることの価値よりも、嫌なことから逃げることの価値の方が圧倒的に高くなり、オヤツを見せても見向きもしない状態になります。
嫌悪感や恐怖心を関連付けていない子犬の段階で、「無理やり○○する」のではなく、「オヤツを使いながら馴らす」ことを実践することが予防になります。
無理やりケアした経験から咬む行動への対処法
これはもはや、無理やりケアしないということに尽きるかと思います。
ただ、既に触ろうとすると咬むという状態になってしまっている場合、動物病院に行ったり、トリミングサロンに行ったり、普段の生活で抱っこもできないという犬も少なくないでしょう。
そうした場合には、「触られることに馴らす」練習が必要です。
しかし、触られることに馴らす練習は、簡単ではありません。既に強化された噛みつきを、素人の飼い主さんが馴らしていくことはほぼ不可能だと思ってください。見様見真似でやってできるものではありません。
必ず専門家の指導を受けて行うか、専門家に預けてある程度馴らしてもらうということが必要です。
当院では、プライベートレッスンで飼い主さんと二人三脚で触る練習を行うパターンと、預かりによる行動治療で治していくパターンがあります。
⑩:撫ですぎ・構いすぎ
体罰とは逆に、かわいがりすぎによっても攻撃行動は発生します。
特に、あまり撫でられるのが好きではない犬、愛情要求の低い犬の場合、飼い主側から常に抱っこしたり、撫でたりすることが受け入れられないこともあります。その場合、撫でていると噛んでくる、触ろうとすると逃げる、抱っこしようとすると噛むといったことが起こってきます。
犬は撫でられたい生き物だと思い込んでいる飼い主さんは特に注意が必要です。必要以上に撫でないようにするだけで、攻撃行動が改善することが多々あります。
犬も必要以上にべたべたせず、一人で落ち着きたいかもしれません。
⑪:体罰
- マズルをつかんで、キャンというまで放さない
- 床に仰向けに押さえつけて怒鳴る
など、体罰的なしつけを行っている場合も、飼い主に対する攻撃性を高める要因になります。犬が体罰を行った相手に対して、恐怖心や防衛心から強く噛むというだけでなく、体罰を行った相手には敵わないと感じ、別の対象に対して憂さ晴らし的に噛むこともあります。
例えば、子犬の遊び噛みを考えてみましょう。身体の大きいお父さんが体罰を行っている場合、お父さんに噛めば嫌なことが起こると理解しており、お父さんには噛もうとしなくなるかもしれません。一方で、お父さんに噛めない分、その欲求が子どもたちに向き、余計に噛むようになることがあります。
飼い主さんが体罰を行うことは、百害あって一利なしです。
【リンク】噛みつきに対して、体罰的なしつけが否定される理由
⑫:咬む経験を繰り返すことによる学習(負の強化)
「無理やり○○しようとしたが、噛まれて断念した」という場合、犬は「噛めば嫌なことが終わる」と学習して、より強く、より頻繁に噛むようになります。
犬は、嫌なことを避けようとして噛みます。「噛めば嫌なことが終わる」という状況は、犬にとっての成功体験を積ませることになります。
こうした、噛むという行動をとることで、結果として嫌なことを避けることができた場合に、噛む行動が増えていくことを、「攻撃行動の負の強化」と言います。
【リンク】「犬が咬む」恐怖が関連した攻撃行動に関する、学習理論の整理
犬の噛みつきの相談事例
ぎふ動物行動クリニックでは犬の噛みつき/攻撃行動について以下のような相談をいただいています。
本気噛みへの対処法
血が出るほど噛む「本気噛み」は、一筋縄ではいきません。
血が出る程、犬歯が刺さる程、何針も縫うほど噛む犬は、正常な精神状態を逸脱している可能性があります。しつけの範疇を超えて、「行動治療」の範疇に入っていると考えたほうがよいでしょう。
本気噛みへの対処法8選
以下の記事で、噛む犬の行動を治すための方法について、取り組むべき8つの方法をまとめています。
https://tomo-iki.jp/shiba-problem/6440
血が出る程噛むような噛みつきの場合、飼い主だけでどうにかしようとしないことが大切です。専門家の力を借りましょう。悩みを真剣に話し、状況を整理するだけでも改善につながることがあります。お気軽にご相談ください。
行動診療の受診(問題行動カウンセリング)
ぎふ動物行動クリニックでは、問題行動の相談・治療を行っております。基本的には来院型で診察を行っていますが、犬を移動させることができない、触れない、リードがつけられないといった場合には、往診による対応を行っています。遠方の場合は、オンライン行動カウンセリングも実施しております。
薬物療法が劇的に奏効する事例も少なくありません。いつ咬まれるかもしれないと、びくびくして生活するのではなく、犬も人も互いに心穏やかに生活できるようになります。
お気軽にお問い合わせください。058-214-3442受付時間 9:00-17:00 [ 不定休 ]
お問い合わせ私共は、岐阜に拠点がありますが、通常の診察では、京都、滋賀、石川、三重、愛知、静岡からお越しいただき、ご相談いただいています。少し遠くても、ご相談いただければ、オンラインや預かりによるご支援も相談させていただきます。一刻も早くということであれば、まずは、お電話でも構いませんので、ご相談ください。