犬が噛むのをやめさせるためには、犬に『噛まなくてもいい生活を与える』ことが大切です。本記事では、成犬の噛みつき特に本気噛みをやめさせる方法について解説します。

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子犬のひどい噛み癖の7タイプ別、原因としつけ方

【獣医師解説】子犬の噛み癖のしつけは、叱って止めるはNG。子犬が噛む原因は『興奮』にあります。噛む行動をやめさせるのではなく、興奮を抑える予防的対応が必要です。

①噛む必要性をなくす

犬が噛む行動をとるには理由・目的があります。

  • 歯磨きを無理やりされたくなくて、捕まりたくなくて咬む
  • ケージに入りたくなくて、捕まえようとした飼い主を噛む
  • ブラッシングが嫌で、ブラシを持って近づく飼い主を噛む
  • ソファの上でゆっくり寝ていたいのに邪魔をしてくる飼い主を噛む
  • 部屋から出ていこうとする飼い主の行動をコントロールしようとして噛む

様々な理由がありますが、それぞれの状況で、噛む理由を生じなくさせれば噛むことはなくなります。

無理やり○○系

  • 無理やり歯磨き ⇒ 一旦歯磨きをやめる+ゆっくり歯磨きの練習をする
  • 無理やりケージ ⇒ ハウスのトレーニング
  • 無理やりブラシ ⇒ ブラシのトレーニング

多くの噛みつきは、無理やり○○したことから生じます。飼い主側は、無理やりのつもりがなくても、犬からしたら無理やりであることが多くあります。まずは無理やり○○するのをやめることで、噛む理由を作らないことが大切です。

生活空間の問題

犬も飼い主も同じソファを共有しているから問題が発生するということは良くあります。犬は犬のベッド、人は人の椅子を使っていれば問題は生じないわけですね。

ソファで噛むことがわかっているのに、ソファを使い続ける必要はないはずです。ソファをやめて、椅子にしたら、犬はそのうえで寝ないかもしれませんね。噛まれないような生活空間をととのえることで、問題は解決します。

②飼い主さんへの不信感を取り除く

犬が飼い主さんに噛むということは、飼い主さんが犬から不信感を抱かれているということです。

「この飼い主、何してくるかわからないし、急に嫌なことしてくるから、嫌なことは嫌だってはっきり伝えないとわからない。だから私は噛むよ。」

と思っています。不信感を取り除かなければ、噛む確率が非常に高い状態のまま維持されてしまいます。

不信感を取り除く、好意的なトレーニング

報酬を用いた好意的なトレーニングが重要ですよと聞いたことがある人もいると思います。

おやつを使いながら楽しくトレーニングすることが噛み癖の改善につながるのか?というと、つながります。オスワリやフセなど、直接関係ないように思えますが、実は、そうした関わりを続けることで、犬の飼い主に対する見方が変わってきます。

「この人は、いつも楽しいトレーニングをしてくれる。美味しいおやつもくれる。悪い人じゃないし、一緒にいたいと思える人だ」

と思ってもらえるようになります。

③触れるようにするトレーニング

噛む必要のない生活を送れば、一定程度攻撃行動は生じません。無理やり触らなければ攻撃の機会はないですし、楽しいトレーニングで安心感を与えることができます。

しかし、それだけで、触れなかったものが触れるようになるかというと、必ずしもそうではありません。「飼い主さんのことは信頼しているけど、触られるのは怖いし嫌」と思っている犬も少なくありません。

結局触れないままだと、動物病院の受診やトリミングサロンなどで困ってしまいますし、日常的なスキンシップもとることができません。

そこで、触られても噛まないようにするためのトレーニングを実施することで、触られても噛む必要がないことを教えていきます。

ただし、触れるようにするトレーニングは非常に繊細な作業であると同時に、危険な作業となります。必ず専門家と共に実施する、もしくは、一旦専門家に預けてある程度馴らしてもらってから飼い主さんが実施するようにしてください。

触るための具体的なトレーニング

触るためのトレーニングは、単純に言うと、慎重に触っていくということに他なりません。

犬の方は、

「触られたらいやなことがあるに違いない」

と考えています。これを

「触られても平気だった、大丈夫だった、警戒する必要なかった」

という認識に変えていく必要があります。

そのためには、触られたけど、平気だった経験を繰り返してもらう必要があります。結果、やり方としては、慎重に触るという形になります。それを繰り返して、触られることに馴らしていきます。

但し、触っている最中に攻撃行動が出る場合が少なくありません。素手でトレーニングしていたら、出血を伴うような怪我になることもあります。その上、噛まれたら手を引くということをしていたら、噛んだら嫌なことが終わると学習させてしまうことになります。それでは本末転倒です。

安全確保という意味でも、手袋やプロテクターを用いて、自分を守ったうえでのトレーニングが必要になります。絶対に素人だけで取り組むことのないようにしてください。