強度の問題行動においては、まずは行動学を専門にする獣医師に相談すべきです。もちろん、特に身体的な異常が疑われなかったり、飼い主さん自身への危険度が低い場合、動物の福祉状態が損なわれない場合はその限りではありません。しかし、原因が特定されていない場合、飼い主さん・家族・他人に危険が及ぶ場合、自傷などがあり動物の福祉が損なわれている場合は、飼い主さんのためにも、犬のためにも、獣医師に相談すべきです。

以下その主な理由を順に紹介いたします。

原因を特定できる

噛み癖の原因は多岐にわたり、身体疾患の関与、てんかんなどの脳の異常、衝動性が高い気質、学習性の攻撃行動、社会化不足など一括りにはできません。そこで何より重要な事が、医学的診断を経て、問題行動の原因を特定することです。身体疾患から行動学的問題までを鑑別し、原因を特定するのは、獣医師でなければできません。

体罰を用いなくてよい

問題行動の改善となると気になるのが体罰的な方法を実施しなければならないのではないかというイメージです。それで相談をためらう方も多いはず。臨床行動学における治療では、基本的に恐怖を与える様な体罰を用いる方法を実施することはありません。

飼い主が実施できる方法である

同時に、臨床行動学では、飼い主=治療の実施者という解釈をしています。行動の問題では、常に一緒に生活をしている飼い主こそが治療者とならなければ改善はできません。そこで、熟練の技術が必要な難しい方法ではなく、飼い主にも実施可能な改善方法を提案することが優先されます。

長期間預けることがない

預かり訓練と違い、特別な場合を除いて、問題行動の改善は家庭で実施していく形になります。長期間、愛犬と離れることは、犬にとっても、飼い主にとってもストレスになる場合が多いでしょう。飼い主=治療の実施者ですから、家で実施する内容になります。時には飼い主さんも愛犬も我慢することが求められる(愛情遮断法など)こともありますが、一緒に改善を行っていくことが出来ます。

連れていけない場合も利用できる

攻撃行動などでは、車に乗せれない等、移動できない場合も多くあります。行動学を専門にしている獣医師では往診による診察をメインにしている先生も多くいらっしゃいます。自宅に訪問することで、問題行動の原因を獣医師の目で確かめることもできます。また、余りに遠方でなければ断られることもまずないと思います。詳しくはそれぞれの先生に問い合わせてください。

薬物療法を実施できる

改善に薬物療法を用いることが出来るのは、獣医師が問題行動の改善に関わる重要な意味があります。向精神薬を用い、鎮静作用のある薬もあるため副作用が心配との声も良く聞きますが、適切に副作用をコントロールすれば大きな問題は発生しにくいです。そして適切に用いることで、大きな効果を得ることが出来ます。

成果が早い

薬物療法による反応は個体差がありますが、劇的に改善する症例も少なくありません。適切な管理の元薬物療法を行うことで、恐怖や不安から発生している問題行動や、常同障害について、行動修正法(トレーニング)だけの方法よりも成果が上がりやすくなり、結果として早く改善できるということになります。

以上のようなメリットがあるので、強度の問題行動では、是非行動を専門にする獣医師にご相談ください!

お近くで行動診療をやっている獣医さんの探し方

相談できる専門家を探すには? 出血を伴い犬歯が刺さる程度の咬みつきでは、半数以上の症例で薬物療法の適応になります。何が原因で発生しているかによって対応は異なり、…

逆にデメリットは何か・・・考えてみたんですが。

場合によっては、診察料が高くなることがあるというところが一番のデメリットかと思います。

料金体系もそれぞれですので、まずはお近くの行動診療をやられている先生にお問い合わせくださーい!