薬物療法って大丈夫ですか?
問題行動の改善の場面で、薬物療法と聞くと…
「薬づけにされるのでは・・・」
「副作用で人格(犬格)が変わるのでは・・・」
と、心配になるもの。特に行動診療で使う薬は向精神薬ですから、なおさらですよね。
それが愛犬を大切にしている飼い主さんなら当然の反応だと思います。
しかしながら、薬物療法が勧められているのは、エビデンス(科学的根拠)があるからなんですね。
薬を併用して(薬だけで治そうと思ってはいけません!あくまで補助ですよ。でもその補助が力強い。)改善を行うことで、飼い主さんも犬も安心して生活できるようになる=改善する確率が高くなることが、これまで世界的に多くの症例の治療の結果、明らかになっています。
「いや~それはわかるけど、でも副作用がね・・・」
副作用はゼロではありません。もちろん薬に応じた副作用が出ることがあります。なので、慎重に使う必要があります。闇雲に使うくらいなら使わない方がいい。でも、用量を調整しながら使用することで、副作用を許容できる範囲にとどめることができます。
副作用が出ることもあるので、その場合は、薬物を変えたり、量を調節したりします。もちろん、使わないという選択をすることもあります。
副作用と言う害もあります。それはもちろんあるんですが、うまく使えば、飼い主さんと愛犬のキズナを取り戻し、幸せを運んでくるものにもなります。同時に薬はあくまで補助として、飼い主さんが中心となって、体罰的な方法ではなく、生活習慣の改善や接し方の改善を進めていく必要もあります。
本サイトは、薬物療法も含む全ての可能性を考えて、問題行動を改善するための方法を紹介しています。ですから、『ちょっと困っている』というレベルでは当然使用しません。本当に生活に困っている、危険を感じている、このままでは飼い続けられないかもしれないというレベルでは、むしろ薬物療法が助けになる事は少なくありません。
全て、ケースバイケース。何かの方法が一番の方法で、他がすべてダメな方法ということもありません。様々な選択肢の中で、冷静に検討していく必要があります。
どうしても使いたくないという飼い主さんもいらっしゃいます。薬物療法が全てではないですので、使わなくても管理できる方法を一緒に考えています。その途中で、やっぱり使ってみようということになることもあります。必ずしも使わなくても対応できる場合もありますので、いずれにしても、まずは、カウンセリングでしっかり相談することですね。