噛みつきをやめさせるには、犬の噛みつきがどのような噛みつきであるか理解する必要があります。犬の噛みつきが「健全な・甘噛み」か「危険な・本気噛み」かを飼い主が理解できれば対策は立てやすくなります。

「甘噛み」であれば、しつけの範疇での対応となりますが、犬歯が刺さる程の「本気咬み」の場合、素人考えでの対応は危険です。行動学に精通した獣医師などの専門家に相談することをお勧めします。

目次

「甘噛み」か「本気咬み」の定義

「甘噛み」「本気咬み」の明確な定義はありませんが、以下のようにとらえるとわかりやすいでしょう。

甘噛みとは

「甘噛み」とは、犬が、遊びの一環として、あるいは、関心を引くことを目的に、優しく噛むことを指します。犬は、もともと、犬同士咬み合って取っ組み合い遊びをして、犬同士のコミュニケーションや身のこなしを覚えます。そうした遊び行動を飼い主に対しても行っている状態、「遊び咬み」が「甘噛み」です。

本気噛みとは

「本気咬み」とは、犬が、自分自身を守るため、大切な資源を守るため、相手(飼い主等)を威嚇し制御しようとして、犬が強く咬みつく場合を指します。「本気」とは「遊び」の対義語であると考えるとわかりやすいでしょう。「遊び」ではなく、しっかりとした意思表示を行うための噛みつきです。

「甘噛み」と「本気噛み」の見分け方

「甘噛み」か「本気咬み」かという噛みつきの原因分類は、噛みつきの強さだけで決まるものではありません。 噛みつきがどのような動機づけ=犬なりの理由で、発生しているかに目を向けることが必要です。

噛みつきの動機づけとしては、大きく分けると「遊び・関心」/「回避・防衛」に分けられます。一方で、噛みつきの強さは、「弱い」/「強い」と分けられます。

「甘噛み」「本気咬み」の4象限
「甘噛み」「本気咬み」の4象限
  1. 「遊び・関心」の動機づけで「弱い」咬みつき
  2. 「遊び・関心」の動機づけで「強い」咬みつき
  3. 「防衛・回避」の動機づけで「弱い」咬みつき
  4. 「防衛・回避」の動機づけで「強い」咬みつき

4つのタイプに分けて、原因と対処法を考えていくことが大切です。詳しくは、以下の動画も参考にしてください。

「甘噛み」への対応

遊び・関心の動機づけで発生する噛みつきの場合、遊びたい・関わりたいというニーズを満たすことが大切です。遊びたい盛りの子犬がリビングにいるのに、ほっておいてテレビを見ていたり、ソファで寝転んでいたら咬まれるに決まっています。

遊び・関心の動機づけで発生する噛みつきの対処法については、以下のブログ・動画が参考にになります。

子犬のひどい噛み癖の7タイプ別、原因としつけ方

【獣医師解説】子犬の噛み癖のしつけは、叱って止めるはNG。子犬が噛む原因は『興奮』にあります。噛む行動をやめさせるのではなく、興奮を抑える予防的対応が必要です。

「本気噛み」への対応

回避・防衛の動機づけで発生する噛みつき≒「本気咬み」の場合、飼い主さんだけで対処することはお勧めできません。行動学を専門とする獣医師への相談を行っていただきたいです。

本気噛みの場合、身体疾患の影響で噛んでいる場合や、脳機能の異常ということも考えられます。まずは、原因をしっかり診断することが大切です。

しかしながら、今まさに、噛まれるかもしれないと思い、当座の対応を行いたいという方については、以下の記事が参考になります。

犬の「本気噛み」をやめさせる対処法8選【獣医行動診療科認定医が解説】

本気噛みは、犬歯が刺さり出血を伴う怪我になる場合も。安全対策を最優先しましょう。生活空間を隔て、犬と一定の距離をとった生活を。身体疾患の除外、状況に応じ、薬物…

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