トリマーさんや、獣医さんには噛まないのに、飼い主にだけ噛むパターンでは、飼い主に対する嫌悪感から噛んでいると考えるべきでしょう。飼い主との関係性がよければ、飼い主だけ噛むということは起こりにくいでしょう。
飼い主が犬から嫌われる主な理由は以下の通りです。
1.ボディランゲージを読み取れていない
先日相談では、小型犬の飼い主さんが膝の上であおむけに抱っこした状態で前足を拭いていたら噛まれたというもので、飼い主さんとしては「突然噛んできたのでなぜ噛まれたか分からない」とおっしゃっていました。
カウンセリング中に同じ姿勢をとっていたので、様子を見ると、同じ姿勢で、犬は明らかに顔を逸らし、身体を硬直させ、嫌悪感を抱いているボディランゲージを示していました。犬にとっては、「変な体勢で抱っこされたくない、逃げたい」という理由で、噛んでいたわけです。
ボディランゲージが読めない、読み間違うことは、犬に噛むきっかけを与えます。また、繰り返しそうしたことが繰り返されると「この飼い主とは付き合いにくい、嫌なことをしてくる」という認識を犬に抱かせることになります。
2.飼い主の思い込み
- 犬は、撫でられてもおとなしくしているもの
- 犬は、抱っこされるのが好きなはず
- 犬は、従順な生き物
- 犬が人に噛むなんて、犬が一方的に悪い
- オヤツで釣るなんてもってのほか、犬は従って当たり前
こうした意識を持っていると、意図せず抑圧的に接してしまい、犬の気持ちを無視した対応をとってしまうことになります。犬は、必ずしも抱っこが好きではないですし、必ずしも従順でもありません。そうした犬の本来の姿を認めることが、関係性改善の第一歩です。
3.撫ですぎ
飼い主の思い込みの中でも根深いのが「犬は撫でられたいと思っているに違いない」というものです。
本当は飼い主がスキンシップをとりたいという欲求があるにも関わらず、「犬を撫でであげなきゃかわいそう」と思って、撫ですぎるのはよくありません。犬は飼い主に撫でられる、抱っこされることが鬱陶しく感じ、噛むようになります。
4.適切なおやつを用いていない
噛む行動に対して、何かしらのしつけを行おうとするときに、価値の低いオヤツを用いることは、噛む危険性を高めます
「あまり、いいオヤツを使うべきじゃない」
という思い込みによって、価値の高いオヤツを用いることを控えると、トレーニングは進んでいきません。
逆に「こんなにいいオヤツがもらえるんだ!」「もっと飼い主さんと一緒に何かしたい!」と思ってもらえるようなオヤツを用意することは大切です。
5.ニーズを満たせていない
運動のニーズや、遊びのニーズ、関わりのニーズを満たせていないと、犬は落ち着きにくくなり、結果として攻撃的になる場合があります。
6.体罰的なしつけ
言わずもがなですが、体罰的なしつけは、飼い主との関係性を崩壊させます。