<ご相談の主旨>

  • 恐怖症と慢性下痢

<基本の情報>

  • Rちゃん:ラブラドールレトリーバー、年齢9歳4カ月、性別去勢済雄、体重約21.5㎏

健康状態について

  • 問診票参照
  • 昨年から週1回位未消化便が出るようになった。
    • ビオイムバスター使い始めて多少改善した
  • 夜、雷がなって、ブルブル震えた
    • 翌日
      • 次の日から下痢・未消化便
      • 土曜日は下痢ぎみ
      • +家の破壊行動
      • +食欲の低下
    • 翌々日
      • 少し回復してきた。

投薬歴について

  • 抗不安作用を期待してジアゼパム 5㎎ 1日3回 で飲ませている

検査歴について

  • 消化器疾患、心臓疾患、整形外科疾患等各種検査を実施したが慢性下痢の原因となる異常は確認されず。

生活環境

  • リビングでフリー状態で生活している

生活習慣

  • 留守番時間
    • 8:00~13:00
    • 15:30~18:30

<問題となっている行動について>

これまでの経緯・問題行動の発生状況

  • 主な症状
    • 震え、怯えがある。
  • 行動の経歴
    • 2020年
      • 夏になると下痢になるイメージがあった
      • フラジールを飲ませると問題なかった。
    • 2022年
      • 先住犬のゴールデンが死亡
      • 一人っ子になった
      • このころを境にいろいろに怖がるようになった。
      • 公園で遊んでいたところ、近くに落雷があり、腰が抜けて動けなくなった。
      • その後、怖がり度が増してきていると想い、しつけ教室にに通った。1回目は嫌がらなかった、2回目は嫌がった。3回目のレッスンの後、家に帰って、庭で遊んでいた時に、硬直して意識を失った。
      • その後、年1回位のペースで意識を失うことがある。
      • 雷、その他の音、震えがひどく、よだれがひどく、その日に留守番をさせると家が破壊されていた。血だらけだった。
    • 2023・2024年
      • 怖がる行動が徐々に増えている状態であった。
    • 2025年
      • 留守番中はハウスに入れていたが、ハウスを破壊して血だらけになることがあった。
    • 2026年
      • フリーにしている/バリケードをしている。
      • 昨日はバリケードを壊した。
      • 雷鳴っていなくても、風が強かったり、雪が降ったりしたときも、留守番ができず、破壊行動が出て、下痢も発生した。
      • 様々なイベントで体調を崩し、下痢が続くようになっている。
      • 震える行動が続いている。
  • 留守番について
    • 雷がなければ留守番は大丈夫
    • 雷が鳴ると、当日、次の日あたりは留守番させると下痢をする。破壊行動も起こる。
  • 不安行動のきっかけとなる刺激
    • 天候
      • 大雨
      • 強風
      • 気圧の変化(雨から晴れなるときを含む)
  • 下痢のきっかけとなる刺激
    • 天候の変化
    • お出かけして遊んだ時

<お話し>

  • 今回の問題行動は、恐怖症に伴う慢性下痢と診断されます。
  • 恐怖症は、生得的な気質を背景にして、雷が近くに落ちた恐怖体験から感作が生じ、時間を経るごとにより強い感作が生じてきた結果、恐怖行動の悪化と、交感神経の興奮に伴う慢性下痢が生じたものと考えられます。
  • 雨や風=怖いという関連づけが強く学習されているため、薬物療法を実施し、雨や風であっても、怖くなかったという経験を積み重ねさせることが必要です。きちんと雨や風手も大丈夫だった経験を積めば恐怖症は改善していきます。
  • 薬物療法については、これまでのジアゼパムに加えて、フルオキセチン、トラゾドンなどを併用し、反応を見ながら対応を検討していきましょう。

<具体的な対応策>

  • 薬物療法
    • フルオキセチン 20㎎ 1日1回 × 30Days
    • トラゾドン 頓服 前日夜50㎎⇒当日朝100㎎⇒昼50㎎
    • ジアゼパム 5㎎1日3回維持 + 15㎎PRN

1か月後再診

(これまでの投薬状況と評価)

  • フルオキセチン
    • 20㎎SIDで下痢・食欲低下
    • 10㎎SIDで、副作用として、食欲低下はある。下痢はない。
    • 雨の日に関連して軟便になることはあるが、下痢にはなっていない。
  • トラゾドン
    • 50㎎⇒ほぼ嘔吐あり
    • 25㎎⇒ほぼ嘔吐あり
    • トラゾドンの副作用により嘔吐が発生していると考えられるため、中止とする。
    • 100㎎のときは、主作用としては、下痢はしなかった、暴れることもなかった。元気はなくなった。
  • ジアゼパム
    • ジアゼパム5㎎TIDは維持している
    • ジアゼパム15㎎PRNで追加した⇒うろうろしていた。寝てはいなかった。そわそわの程度は変わりない。

(経過)

  • お出かけした後、元気がなかった。
  • 普通の日
    • 元気がないように感じる。
    • 食欲がないように感じる。
  • 体重
    • 体重は増えた。
    • 25㎏になっていた

(評価)

  • フルオキセチン
    • 副作用の食欲低下が強いため漸減し中止する。
  • ジアゼパム
    • 5㎎1日3回で維持する
  • 目標
    • 寝ててもらうことはOKで下痢と嘔吐んならないようにする。下痢嘔吐が発生しない薬の組み合わせを見つけていく。
  • 薬について
    • ガバペンチン/プレガバリンを試してみる。
    • トラゾドンは主作用は出ていたが、嘔吐もしていた。セレニアを合わせて使う選択肢もあるが優先順位は低い
    • ペクシオンも選択肢
    • 何もないときに各抗不安薬を1回ずつ試してみる。嘔吐・下痢がないか評価する。

(処方)

  • プレガバリン 4㎎/kg
  • ガバペンチン 40㎎/kg
  • ペクシオン  20㎎/kg

初診2か月後

(経過)

  • ガバペンチン10㎎/kg×3回で 雨の日も問題なく過ごせている。
  • 副作用も出ていない。下痢や嘔吐は見られず、落ち着いて過ごせている
  • 追加で処方する