<ご相談の主旨>

  • 家族に対する攻撃行動
  • 飼い主の手におえない状況、ケージから出せない状況とのことで、緊急依頼があり往診を実施。

<基本の情報>

  • 武蔵ちゃん:犬種柴犬、年齢1歳1カ月、性別去勢雄、体重約9.2㎏

健康状態について

  • 痒みあり。プレドニゾロン服用。

既往歴について

  • 特になし

生活環境

  • 問診票参照
  • 往診時に確認
  • 子どもが7才と10才

生活習慣

  • 問診票参照
  • 散歩1日2回、60分程度
  • ゴハンはサークルの中で与えていた
  • サークルの外に出すことはほとんどなかった。基本はサークル。

<問題となっている行動について>

これまでの経緯・問題行動の発生状況

  • 主な症状
    • 家族に対する攻撃行動
    • 特に物を守る行動/身体拘束に対する攻撃行動
  • 行動の経緯
    • 6月
      • 家に来た
      • 咬みつきが強く、手が傷だらけになった。
      • 子どもとはあまり遊ばせないようにしていた
    • 8月
      • 散歩デビューして散歩中に足に咬み付いてくるようになった。
      • 足先や踵の上付近を噛むことが多くなかなか散歩に行けなかった
    • 9月
      • 出張訓練士に指導を依頼した。
      • 散歩が上手になるためには、上下関係が必要と言われた。
      • トレーナーに言われて拘束的なトレーニングをしていた。
      • 暴れるのを無理やり抑えつける練習をやった。
      • お互い必死になって格闘していた。
      • やればやるほど悪化していた。
    • 1月
      • 拘束トレーニングを終了した。
      • 拘束トレーニングを止めたら攻撃的になった。
    • 1月~3月頃
      • 散歩後の足ふきの際におやつがないと攻撃する行動があった。
      • 徐々におやつがあっても、なくなった瞬間に攻撃的になる様子が強くなっていった。
      • 徐々に拾い食いも強くなってきた。
    • 3月頃
      • 価値の高い骨を使って、足ふきをしようとしたところ、守ってしまって強い攻撃性が生じた。
      • 玄関からサークルに持ち帰った後も、大分守っていた。
      • しばらくして食べ終わったら落ち着いた。
    • 4月往診前日
      • 朝、散歩中に落ちていたボールを拾ってしまった。玄関にそのまま放置した。
      • 拾い食いする物がなくなれば落ち着くので、無理やり取り上げた。長棒を使って取り上げた。棒との格闘になりながらも取り上げることができた。
      • いつもなら、守っているものを取り除けば普通の状態に戻るのに、この時はボールを取り上げた後も攻撃的な状態が続き、サークルに近づくと強く攻撃的な状態になった。
    • 4月往診当日
      • 次の日朝、近づいた時も攻撃的だったた
      • 午後になった時点で、少し落ち着いてきた
      • 奥田が訪問したことで再度攻撃的になった

<その他の情報>

  • 散歩の途中で急に興奮することがある。
    • 足を咬んでくる、自分の尻尾を追いかける
    • 犬が飼い主さんの行く手を遮る形で前に出てきて、咬む、咬もうとする様子がある。

<情報の整理>

  • 解決すべき項目
    • 足ふき問題
      • 濡れタオルでやってもらう
    • 拾い食い
      • 気を付けて散歩をする。
      • 散歩中におやつを使っていく。
    • 攻撃的になった場合の対応
      • サークル内でもリードをつけておく
      • リードで制御して外に出してしまう。
      • 常用の薬
    • ゴハンのお皿を守るのではないか
      • 4月7日に守った⇒次の日の朝も守っていた。
      • それ以前は、守ることはなかった。
  • お返しの目安
    • 2週間程度でお返しを想定

<お話し>

  • 今回の問題行動は、基礎的な興奮性の高さ、衝動性の高さに加え、強制的な対応を繰り返したことにより、飼い主さんの行動に対しての警戒心が増加し、物を守る行動をきっかけとして、非常に強い攻撃行動が生じた状況と言えます。
  • 近づくだけで非常に強く攻撃的な姿勢を見せる状況とのことで、私自身対応させていただきましたが、跳びついて咬みついてくる様子があり、咬みつきの強さも手加減なく咬み付いてくる様子が見られました。義手を差し出すと、義手を咬みちぎる勢いで咬み付いてきました。
  • 飼い主さんでは対応が難しい状況であることは明らかであるので、一旦お預かりして、その間に薬物療法を実施します。また落ち着いた状況でお返ししたいと思います。
  • 足ふきに関しては、元々すごく丁寧にできていたわけではありませんから、一旦濡れたバスタオルの上を歩かせる方法にした方が良いでしょう。身体的な拘束や、無理に何かされると言うような状況を一旦失くしてもらった方が良いです。
  • 柴犬では、このような非常に激しい攻撃行動が持続することが多くあります。こうした行動は、薬物療法により衝動性・攻撃性を低下させることで、安定して過ごせるようになることがよくあります。今回の症例でも、尾を追って回ることもあり、情動のコントロールが苦手なタイプのようです。薬物療法によりどの程度変化するか試してみて、主作用と副作用の発現の状況を見ながら、調整を行っていきましょう。