<ご相談の主旨>

  • 家族に対する攻撃行動
  • 特に、撫でていると突然咬んでくることがあることと、動物病院に連れていけないことに悩んでいる。

<基本の情報>

  • そらちゃん:柴犬(茶)、年齢5歳3カ月、性別未去勢雄、体重約10㎏

健康状態について

  • 問診票参照
  • 気になるところはない
    • 動物病院には、おととし行って、狂犬病を打った
    • 去年は打っていない

既往歴について

  • 問診票参照
  • 特になし

生活環境

  • 問診票参照
  • サークル中心に生活
    • 小さいころから出すと興奮してじっとしてられなかった。
    • 足に反応して急に攻撃してくることがあったので、中に入れていた。
  • ご飯前のルーティン
    • サークルから出す⇒庭に出る⇒人がサークルにご飯を用意する⇒入ってきて、サークルの中で食べる
  • 庭に出す
    • 手が空いた日中などに出している。
    • 一人で遊んでいる。

生活習慣

  • 問診票参照
  • 散歩は1日2回行っていたが、最近はあまり行っていない。
    • 気持ちに余裕がある時だけ行っている。
    • 30分くらい行っている。
    • 帰りたくないときは入らない。

<問題となっている行動について>

相談のきっかけ

  • 予防接種に行かないといけないと感じで相談した。
  • 2年前に咬まれてからずっと距離をとっているのでどうにかしたい。

これまでの経緯・問題行動の発生状況

  • 今困っていること
    • ①動物病院にいけない
      • 無理やり抑えて受診したときに咬まれた
    • ②ブラシができない
      • ブラシをすると怒るため危険
    • ③急に怒る/近づいてくる時に触ると怒る
      • 犬から寄ってきているのに、撫でていると急に攻撃することがある
    • ④散歩中に足に噛みついてくることがある
      • 引っ張りが強い
      • トラックや犬に出会うと興奮して、リードを咬む
      • 足を咬まれることがある。
    • ⑤マーキングをする
      • 室内でマーキングをしてしまうため、自由にしてあげることができない
    • ⑥朝5時くらいから吠える
      • 6時まで吠えている
      • 6時になったら外に出すが、すぐに入ってくる。
  • 飼い主さんの目指す姿
    • サークルから出して、自由にしてあげたい。
      • マーキング
    • 朝吠えないようになってほしい。
    • ブラシができるようにした方がいい。
  • 攻撃行動のきっかけ
    • 押さえつけて咬まれていることが多いように感じる

<お話し>

  • 動物病院に行けていないということで、行けるようにするためには、やはり、クレートに入れるようにするのが良いと考えられます。飼い主さんに犬に対する怖さがあるかもしれませんが、奥田が接した感じ、警戒していなければ手からフードも食べることができますし、クレートトレーニングなども十分に実施できる状態であると評価できます。
  • リビングに出すとマーキングしてしまう問題については、やはり去勢手術が有効な対策になりますが、これもクレートに入れるようになり、動物病院を受診できるようになれば解決できるでしょう。
  • トレーニングは好きそうでしたので、積極的にやっていただくとよいと思います。手からフードを与えるのが怖ければ、下においてもらってもいいですし、手袋で与えてもらうのも良いでしょう。少しずつ馴れていくことで、コミュニケーションの幅は広がっていきます。
  • お薬については、常用の薬と、動物病院受診用の薬をお出しします。常用のお薬で日常的な興奮度を下げたり、マーキングの頻度を下げる効果も期待できます。

<具体的な対応策>

  • 散歩行く
    • 可能な限り、毎日散歩に行くようにしましょう。
  • 手からおやつ与える練習
    • ①はじめは義手でおやつを与える
    • ②皮手袋で与える
    • ③重作業用手袋で与える
    • ④素手で与える
  • 去勢手術
    • 千村どうぶつ病院さんに相談してみましょう。
    • 一緒に狂犬病も打ってもらえるか確認します。
    • クレートに入れるようになったら、予定を立てるようにしましょう。
  • クレートトレーニング
    • リッチェルのLサイズクレートなど、大き目のサイズのクレートを用意しましょう。
    • 日々目に見える場所に設置しておきましょう。リビングに設置することをおおすすめします。
    • 日常の中で、「クレート」と声をかけて、クレートを指さしをしながら、おやつを投げ入れて取りに行く練習をしましょう。
  • リビングに出る練習
    • 手からおやつを与えられる前提ですが、リビングに出してトレーニングする時間を作ってもいいでしょう。
    • はじめは3分とか5分とかでいいと思います。
    • クレートトレーニングだけでなく、オスワリ、フセ、マテ、オイデ、タッチなどできるようにすると良いでしょう。
  • トレーニング
    • 一般的なトレーニングの手法を覚えてもらうことが重要です。
    • トレーニングのレパートリーを増やすことで、関りの選択肢が増えます。
  • 薬物療法
    • フルオキセチン(10㎎1日1回×30Days)
      • 頓服ではなく、1日1回飲ませるお薬です。用量は1‐2㎎/kgです。
      • 脳内のセロトニン代謝を調節し、抗不安作用、抗うつ作用を生じます。衝動性、感情の昂ぶりを抑える効果が期待できます。
      • 副作用は、下痢、食欲低下、傾眠傾向です。
    • トラゾドン(100㎎×動物病院などのイベント2時間)
      • 抗不安作用、抗うつ作用、鎮静作用のあるお薬です。トリミング、診察、外出、留守番など、特定のストレスのかかるイベントの直前(2時間前)くらいに飲ませることで、少し眠い状態にして、問題となる行動を抑えるために使います。
      • 時に逆説的な興奮が起こることがあります。
      • 2-12㎎/kg程度で、頓服で使用することが多いですが、1日2回のような形で常用として使い場合もあります。

3週間後再診

(経過)

  • 朝早く鳴くことが少なくなった。
  • 尻尾を追いかけて興奮することは少なくなった。
  • 薬の影響を実感している。落ち着きのレベルが半分くらいになった。
  • 威嚇することも少なくなった。
  • 外に出るプロセス
    • お父さん
      • すぐに外に出すようにしている
    • お母さん
      • ウロウロしてから出ている。

(元々の困りごとの変化)

  • ①動物病院にいけない
    • クレートトレーニングを実施中だが、まだクレート内に身体全体は入らない状態。
  • ②ブラシができない
    • ケージの中にいるときに多少やっている
    • ケージの中と外なので、安全は確保できている
    • 問題なく実施できている
  • ③急に怒る/近づいてくる時に触ると怒る
    • 減ってはいる。唸るのは減った印象はある。ほとんど唸っていない
  • ④散歩中に足に噛みついてくることがある
    • 元の状況
      • 引っ張りが強い
      • トラックや犬に出会うと興奮して、リードを咬む
      • 足を咬まれることがある。
    • 現在の状況
      • 引っ張りの程度も落ち着いて歩くようになった。
      • 散歩も落ち着くようになった。
  • ⑤マーキングをする
    • いつも家の中の同じ場所で一気に排泄する。
    • マーキングと言うよりは排泄と思われる。
    • 前は興奮して、マーキングすることがあったが、最近は減った。
    • サークルの中からサークルの外に向かって排泄するのも、ちょろちょろせずに、一気にするようになって、足を挙げにくくなった。
  • ⑥朝5時くらいから吠える
    • 6時半くらいになった。
  • その他の変化
    • 手からおやつ与えるようになり、問題なく与えることが出来ている

(評価)

  • 薬物療法の効果が出ていると考えられる
    • 攻撃行動の現象
    • 興奮の抑制
    • マーキングの減少
  • 副作用は容認できるレベルであり、投薬を継続することとした。
  • トレーニングについても、飼い主さんのできる範囲で十分に実施している。クレートトレーニングは焦らず続けることが重要である。コツをお伝えしたので、次回の診察時に進捗を確認する。