ご相談の主旨
- 散歩中を中心として、犬や人に吠えることに問題を感じご相談いただきました。
- 相談のきっかけとして何か大きな事件があったわけではないが、お散歩中に横を通った自転車に興奮してハーネスはずれてしまい、吠えながら自転車を追いかけてしまったことがあり、大事には至らなかったものの、対策の必要があると感じたというお話がありました。
基本の情報
- 犬種:ミニチュアシュナウザー
- 年齢:2歳3ヶ月
- 性別:オス(去勢手術済み)
- 飼い主さん家族は、30代ご夫婦。
【吠え】行動の状況
[散歩中]
- 吠える対象:自転車、近所の人、話ながら歩く見知らぬ人、犬・猫・鳥など、空手道場の子どもたち
- 吠えるタイミング
- 散歩に出た瞬間興奮している時
- 散歩中に吠える対象を見た時
- テンションが高くなると吠えることが多い
- 空手道場の付近
- 吠える頻度:以前は人に会うたびに吠えていたが、オヤツで気をひくよう対応し、少し頻度は減った。
- 吠えの程度:近所で飼われている同じ犬種の犬と会うと、吠え合ってしまうが、攻撃に至るものではない。
[在宅時]
- 吠える対象:チャイムの音、救急車
- 家の中では大きな問題は感じない
[これまでの対応とその他の情報]
- 1歳くらいの頃に数回トレーニングスクールに通い、オヤツを与えたり、吠える対象との間に飼い主さんが入るような対応を教わったため、今も実践している。
- 散歩時は、人や犬と遭遇しにくい場所を選んでいる。
- 見知らぬ人には興奮して吠えるが、飼い主さんのお父様には何回か預けたことがあり、吠えない。
診察中の様子
- 診察室に入って来てしばらくは、獣医師に向かって吠えていたが、10~15分経つと頻度が減った。
- 獣医師が近づくと吠え始めるが、その手からオヤツをもらうことはでき、静止した状態であれば吠えずに落ち着いていることができた。獣医師が再び少しでも動くと、また吠えがみられた。
- 診察室の外での物音や犬の声に反応して、吠えがみられた。
- 獣医師がリードを持ち、診察室から受付スペースに移動すると、移動直後は周囲の様々な音や声に敏感に反応し、吠える行動が多くみられたが、それに対して人が間に入る、犬の居る場所を変える、吠えそうなときにオヤツで気をひくなどの対応を取っていると、5分程度で吠えずに落ち着いていられるようになった。
診断とお話し
- 今回の問題行動は、人や犬等に対する警戒心からの吠え行動であると考えられます。
- 一方で、診察中に配達員が受付スペースに入ってきても吠えなかったことから、状況によって警戒レベルが変わってくるものと考えられます。今日は、受付付近でオヤツをたくさん与えていたので警戒心が低くなったのかもしれません。
- 吠える対象とオヤツの関連づけよりも、状況や場所とオヤツの関連づけを行った方が効果が高い可能性があります。
- まずは今日お伝えする対応策を実施していただき、トレーナーによるプライベートレッスンでフォローさせていただければと存じます。
具体的な対応策
- ゴハンの与え方の変更
- フード1日分から散歩分を取り分けて、散歩行き始め~散歩中に与えてみましょう。
- 散歩の行き始めは、特に興奮しやすいと思いますので、落ち着かせる為にも散歩に行くタイミングでゴハンを与え始めてもいいでしょう。
- 散歩中に1回分の食事を与えて戻ってくるというくらいでいいでしょう。
- 散歩時に建物外に出るときだけクレートを使う
- 目隠しをすることで、吠えにくくなるようなら、それも一つの手です。
- 道具の選択を変える
- ヘッドカラーを利用する、首輪とハーネスのダブルリードにするなど、道具を変えることで、吠えを抑制することができるでしょう。
- また、抜けてしまったことがあるとのことなので、安全確保のためダブルリードをおすすめいたします。
- オヤツの選択肢を増やす
- より好きなオヤツを選ぶことで、トレーニングのスピードが早くなることがあります。
- 散歩中に犬等に出会ったら早足で過ぎ去る
- 吠え始めた時に、少し早足になるくらいのペースで歩いてもらうと良いでしょう。
- 散歩中に名前を呼ぶ練習を行う
- フードを散歩に持って行き、名前の練習をしていきましょう。
- 吠える対象(人・犬・自転車など)がいない時にも継続的に行うようにすると良いでしょう。
- プライベートレッスン
- プライベートレッスンを通じて、興奮のおさえ方、犬の褒め方、散歩のさせ方など学んでいくと良いでしょう。
- ノーズワークレッスン
- ノーズワークも効果的だと思いますので、機会があればチャレンジしてもらえると良いでしょう。