「やっぱり高いフードの方がいいんですか?」診察の中で、そんな質問を受けることはしばしばあります。ぶっちゃけ、高ければ良い、安ければ悪いと言うことはありませんが、やはり、健康な身体と認知機能の維持と言うことを考えると、ある程度の質を確保することは、必要になります。
スロバキアで行われた調査では、管理された食事を食べてている犬と、管理されていない食事を食べている犬との間で、認知症機能の低下のリスクについて比較されました。その結果、管理されていない食事を与えられた犬の方が、認知機能低下のリスクが2.8倍も高かったのです。
この研究で、管理された食事とは、犬種の大きさや年齢、健康状態に応じて購入される高品質の市販食品(ヒルズ、ロイヤルカナン、スペシフィックなど)と定義されました。一方で、管理されていない食事とは、犬種の大きさや年齢、健康状態に応じて購入されないキッチン廃棄物、特に指定のない飼料混合物、または低品質の市販食品を指します。要するに、プレミアムフードを食べているか、そうではない低品質なフードや残飯などを中心に食べているかという違いになります。
ここまで述べてきた通り、認知機能の維持には、様々な栄養的サポートが有効です。フードの品質とは、そうした内容物について精査されているかどうか、酸化を防ぐ梱包がされているかなどの面でレベルが高いということになります。認知機能低下のリスクが2.8倍も違うということも重要ですが、毎日食べるものですから、認知機能維持という側面だけでなく、やはり、品質の良いフードを与えてあげたいですね。
多くの方は市販のフードを与えているかとおもいますが、獣医師からの処方が必要な療法食としては、認知症の予防、認知機能の維持に必要な栄養素を多く含んだフードが販売されています。ニューロケア(ネスレ・ピュリナ)は、中鎖脂肪酸(MCT)、アルギニン、オメガ3脂肪酸、抗酸化成分、ビタミンB群などが配合されており、酸化ダメージからの保護が期待できます。ニューロケアは、特発性てんかんの療法食としても利用されています。獣医師の紹介がないと購入できない療法食ですが、軽度の認知症が疑われる場合など、かかりつけ動物病院などに相談されるのも良いかと思います。