猫の咬みつきと遊びの関係｜猫のしつけ教室講師の獣医師が徹底解説

猫ちゃんのしつこい甘噛み、じゃれているのかと思ったら傷がつくほど歯を立ててくる…などの咬みつきに困っていませんか？

甘噛みの延長で本気咬みをするようになることも

猫が遊んでいる時や、飼い主さんの関心をひきたい時に、比較的優しく噛むことを「甘噛み」と呼ぶことがあります。猫は、子猫同士で咬み合ったり取っ組み合ったりする遊びの中で、コミュニケーションや狩りの動きを学びます。そうした本来は猫同士で行う遊び行動を飼い主に対しても行っている「遊び咬み」を「甘噛み」と呼ぶ場合があります。

しかし、もともとは「甘噛み」としての咬みつきだったとしても、毎日飼い主さんの手に咬みついて遊んでいるうちに、咬む強さが強くなり、最終的には大ケガをするほどの強さで咬むようになることもあります。これは、猫にとって遊びは狩りの一環であり、人間が考えるような「遊び」とは異なるためです。

「人は獲物だ！」と覚えさせないために

猫は、猫じゃらしなどのおもちゃにじゃれて遊ぶのが大好きというイメージがあると思いますが、猫にとってこれは、獲物を捕獲する練習、捕食行動の一環であり、「遊び」ではないのです。ですから、子猫が人に甘噛みをしたりじゃれたりする行動は、人を獲物として捕獲しているのだということになります。そして、飼い主が手を使って子猫とじゃれあったり、走って逃げて子猫に追いかけさせたりする遊び方は、「人は獲物だ！」と教えていることになり、これを学習した猫は飼い主に本気で咬みついたり飛びついたりするようになってしまいます。

猫に「人は獲物だ！」と教えない遊び方

• 飼い主さんがコントロールしやすいおもちゃで上手に遊ぶ
• 知育玩具など猫自身が工夫するタイプのおもちゃを使う
• 絶対に人間の手を使って遊ばない

人に安全、猫に満足のいく遊びを毎日提供しよう！

かつては、人間は猫にネズミを退治させるために、猫は獲物（ネズミ）をたくさん捕まえるために、利益が一致する形で一緒に生活するようになりました。当時の猫たちは、日常生活で狩りを行うことで捕食本能を満たし、そのことは猫だけでなく人間にも利益をもたらしていたのです。しかし現在は、自分でネズミを捕まえることで毎日の食事を賄っている飼い猫はほぼいないでしょう。猫にとっては当たり前の捕食本能を「食べるために狩る」という形で満たす場がなくなった今、猫が持って生まれた衝動を失うことなく、室内でより安全に、より質の高い生活ができるよう、飼い主である人間が考えなければなりません。

飼い主さんが猫の捕食行動を理解し、正しい遊び方で猫の狩猟本能を十分に満たしてあげることで、問題を解決することができるでしょう。

猫の捕食行動には、次のような一定のパターンがあります。猫と遊ぶ時も、この捕食行動パターンに則って一連の動きを引き出して完結できるよう工夫することで、満足感の高い遊びとすることができます。

猫の捕食行動パターン

1. 狩りをする
   1. 嗅覚、聴覚、視覚を使って獲物を探し、待ち伏せる。
   2. 獲物を目で追い、そっと近づきながら狙う。
2. 捕まえる
   1. 獲物に飛びつき、四肢や口を使って捕まえる。
3. 殺す
   1. 引っかく、蹴る、咬む、振り回すなどの方法で弱らせる。
   2. とどめを刺して咬み殺す。
4. 食べる
   1. 獲物を安全な場所に持っていく。
   2. 食べる。

捕食行動パターンに則った遊び方

具体的には、例えば、

「おもちゃで遊ぶ（５分間）→休憩（５分間）→おもちゃで遊ぶ（５分間）→おやつなどを食べる」

このようなパターンで遊べば、一定の捕食行動パターンを完結させる形で遊ぶことができます。おもちゃで遊ぶ時は、何回かに1回はしっかり捕まるタイミングを作りながら遊びましょう。

1日1回だけ長時間遊ぶのではなく、家族が起床した時や猫の食事のタイミングなど、家庭内で、猫の「動きたい！遊びたい！」という気持ちが高まるタイミングに合わせて、短時間で1日に何回か、このような狩りを再現した遊びをする習慣を作ると良いでしょう。

知育おもちゃも活用できる

ごはんやおやつが出てくるような「知育玩具」「知育おもちゃ」「おやつトイ」と呼ばれるものも、猫が自ら考え、トライ＆エラーしてフードを得られるたのしく満足感の高い遊びとなります。

市販のおもちゃを活用するのも良いですし、作ってあげることもできます。ペットボトルやガチャボール、トイレットペーパーの芯、お菓子の箱など、身近な材料を使ってDIYしてみましょう。

猫のしつけ教室で、もっとたのしい猫ライフを！

しつけ教室ONELife／ぎふ動物行動クリニックでは、愛猫と飼い主さんが学ぶ場として、成猫向けの「猫のしつけ教室」と子猫及びこれから猫を飼う方向けの「こねこ教室」を実施しています。

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