先日、長野県伊那市まで往診に行ってきました。
普段は浜松市近郊を中心に活動していますが、今回は以前オンラインカウンセリングを受けてくださったご家庭からのご希望で、直接お伺いすることに。

対象は、「しっぽを追ってガウガウする行動」に悩む柴犬さんです。

しっぽを追う行動、どうして起きるの?

犬が自分のしっぽを追いかける行動には、いくつかの原因があります。
代表的なものとしては以下のようなものです。

  • 退屈やストレスによる自己刺激行動
  • 不安や恐怖がきっかけの反応
  • 飼い主の反応によって強化された学習行動

今回の柴犬さんは、最初のきっかけは隣家の工事音(大きな金属音)だったようで、強い恐怖や不安を感じた経験がスタート地点だったようです。
しかし、その後は「人が声をかける」「食べ物をもらえる」といった対応が繰り返されることで、「しっぽを追えば人が反応してくれる」という学習が起き、行動が定着してしまっていました。

ご家族の困りごとと現状の様子

ご家族が特に困っていたのは、しっぽ追いの声が気になってしまうこと。
お父さんがその度に声をかけたり、ごはんをあげることで一時的にはおさまるのですが、それが結果的に「行動の強化」につながっていました。

柴犬さんの居場所は、ご家族の生活音や会話がよく聞こえる環境にあり、人の気配を常に気にしてしまう状態。これではなかなか心が休まりません。

環境を整えることからスタート

まずご提案したのは、「安心して休める環境づくり」です。
柴犬さんがご家族の動きや音に過敏に反応しないよう、居場所のレイアウトや視覚的・聴覚的な遮蔽を工夫できるよう一緒に考えました。

また、ご家族(特にお父さん)が「反応せずに見守る」ことができるよう、飼い主さん側のサポート環境も整えることを意識しました。

予防的な関わりと「やること」の提供

次に大切なのが、問題行動が起きる前に、満足できる関わりを作ることです。

  • トレーニングで一緒に楽しく過ごす時間を作る
  • 知育トイなどを使って「やること」を与える
  • ごはんやおやつを小分けにして、探したり考えたりする機会を作る

こうした日常の工夫が、「しっぽを追う」以外の行動の選択肢を増やすことにつながります。

また、行動修正の一環として、クレートトレーニングにも取り組むことにしました。
クレートを「閉じ込める場所」ではなく、「自分から入りたくなる落ち着く場所」として教えていくことが目的です。
段階を踏みながら、少しずつ自分でクレートに入るようにする方法をお伝えし、「休む練習」をする時間を作っていくことにしました。

行動の波と薬物療法の併用

この柴犬さんは、人の対応による強化だけでなく、環境刺激にとても敏感なタイプでもあります。そのため、日によって行動の回数や強さに波が見られます。
そこで、トレーニングの効果を高め、より穏やかに過ごせるよう、抗不安薬による薬物療法も併用することにしました。薬の力を借りることで、学習や環境調整がよりスムーズに進むことがあります。

まとめ―「困った行動」の背景には理由がある

犬の「しっぽを追う行動」は、ただのいたずらではなく、不安や学習の結果として生じているサインであることが多いです。
行動そのものを叱る・止めるのではなく、「なぜその行動が起きるのか」「どうすれば安心できるのか」を一緒に考えることが大切です。
今回の往診では、柴犬さんとご家族がお互いに安心できる関係を築けるよう、環境・関わり・トレーニング・薬の4つの面からサポートを始めました。

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