犬の認知症に対する、漢方薬の応用の可能性
人の医療においては、認知症に対して、漢方薬がよく使われています。犬の認知症に対しては、まだエビデンスに乏しく、頻用されているわけではありませんが、今後研究が進むことが期待される分野です。ここでは人の認知症に用いられる漢方薬についてご紹介します。
当帰芍薬散
当帰芍薬散は、芍薬、蒼朮(もしくは白朮)、沢瀉、茯苓、川芎、当帰の6味からなる漢方薬で、気を巡らせ、血を補い、水を動かす漢方薬です。
元々は、女性の腹痛、妊娠中の腹痛を和らげるために作られた漢方薬です。当帰は女性の聖薬とも呼ばれ、生理痛によく効くことで知られています。当帰には、子宮筋を弛緩させる成分と、収縮させる成分があり、バランスを取ることによって、生理痛などの女性の腹痛を和らげると考えられています。
当帰や川芎には、脳動脈の血行障害を改善する作用・性ホルモン活性作用が、芍薬には抗酸化作用が、当帰、茯苓、蒼朮、川芎には抗補体作用があり、認知機能改善に効果があると考えられています。