<ご相談の主旨>
- 家族に対する攻撃行動について、特にケアに関してご相談いただきました。
<基本の情報>
- Sちゃん:犬種トイ・プードル、3歳1ヶ月、性別去勢雄、体重約5.8㎏
健康状態について
- 特に問題なし
既往歴について
- 誤食:2年前に誤飲を数回やっている
- 皮膚の痒み(内服、外用いずれも)
生活環境
- 寝るとき以外はリビングでフリーにしている
- 部屋の隅の机の下に隠れていることが多い
生活習慣
- 散歩は1日2回。朝はお父さん、夕方は行ける人。30分程度
- ゴハンも1日2回。散歩の後に与えている
<問題となっている行動について>
これまでの経緯・問題行動の発生状況
- 主な症状
- ①家族に対する攻撃行動
- ②手を舐める/爪を咬む行動
- ③散歩で歩かない
- ④人が出かけるときに吠える
- ①の詳細
- 発生状況
- 足を洗う時に攻撃する
- 妹さんがやるときは問題なくできる
- 全身を洗う
- 妹さんならできる
- 顔周りをふく
- 時間が短ければ触れる
- 食事を途中で足す
- 好きなおもちゃのそばを通る
- 寝ている時に、近くに手を置く
- 足を洗う時に攻撃する
- 経緯
- 小さい頃から攻撃行動はあった。
- 長いこと撫でていた時に
- 足を触った時(ウエットティッシュで拭く)
- 2歳から攻撃頻度が増えた
- 警戒心が強くなったような気がする
- ケージの近くのコンセントを挿そうとすると攻撃する
- 犬の近くに手を伸ばすと攻撃する
- 警戒心が強くなったような気がする
- 小さい頃から攻撃行動はあった。
- 特に困っている状況
- 撫でている時に急に攻撃してくる
- 顔周りが触れない
- トリミング・ブラシの際に、ハサミやブラシに怒っていることがあったが、今はマシになった
- 洗濯物をたたんでいる時に、急に跳びかかってくる
- バスタオル/白いTシャツ/白いもの
- 車から降りてくれない。降ろそうとしたら咬まれる。
- 動物病院に行った時に、帰りにクレートから出てこない。
- ケージの近くで何かすると攻撃する
- ケージの近くで筋トレする
- 服を着せることができない
- 発生状況
- ②の詳細
- 発生状況
- 暇な時に発生する
- 怒られた時
- 何らかのストレスがかかる場面で発生している
- 発生状況
- ③の詳細
- 発生状況
- トラックや救急車の音
- 夜になると歩けない
- 散歩に行くよというと、喜ぶため、散歩が嫌いなわけではない
- 発生状況
- ④の詳細
- 発生状況
- 仕事以外の場面で出かけようとすると吠える
- 発生状況
<その他の情報>
- ①の行動について、ドッグトレーナーさんが来てくれた時にも初めは発生しなかった
- 動物病院でも攻撃行動は出ていない
- 最近、フードを追加した時に攻撃されたことがある
- オヤツがあれば、攻撃されることは少ない。
- お父さんが怒り方がきつい叩いたこともある。
- 大きな音や大きなトラックなどに怖がることが多い
<これまでの対応>
- 身体中のブラシができなくなったので、トレーナーさんから指導を受けた
- やったこと
- ブラシをしながらオヤツを与える練習
- 成果
- 首輪触れなかった⇒首輪触れるようになった
- ブラシできなかった⇒ブラシについてできるようになった
- しかし、足を拭こうとしたら噛むようになった
- 時期
- 6カ月前~3か月前くらいの間
- やったこと
<お話し>
- 診断名:恐怖性攻撃行動
- 今回の問題行動については、特に①の問題行動について対応を行っていく必要があります。
- 発生原因として、過去の経緯から、手に対する恐怖心、手で何かされることに対する恐怖心からの攻撃行動であると推測できます。
- 環境的にも、薄暗い場所を好んでいるようで、落ち着ける環境を求めており、今の環境では休まりにくい状況があるかもしれません。夜に攻撃が発生しやすいということですから、夜はは特に早く休ませてあげるようにしましょう。
- ケージの近くのコンセントを触ろうとすることが、圧迫的に接近する状況となっており、それにより恐怖心を感じ、攻撃が生じていると考えられます。このような攻撃を防ぐためには、環境の改善が必要です。人の接近が気にならないようなプライベートが守られた空間を用意すると良いでしょう。
- ゴハンの与え方を工夫して、手の接触に馴らす練習や、首輪の接触に馴らす練習に使ってもらうと良いでしょう。おやつを使いながら触る練習についてはこれまでにも実施されており、一定の成果をあげています。そのため、ゴハンの際にルーティンとして練習を取り入れることで、少しずつ手に対する印象、手で触られることに対する印象を良くしていくことができると考えられます。
- お薬については、一回試してみても良いでしょう。反応について評価を行い、継続するか検討しましょう。
<具体的な対応策>
- 居心地の良い居場所を作る
- 薄暗くて奥まっているような環境を作る
- ゲージにブランケットをかける
- 夜は早めにケージに入れるようにしましょう。
- ゴハンの与え方の変更
- お皿からご飯を与えることを減らして、手から関わりながら与えるようにする
- トレーニングしたり、撫でたりしながら与えるように
- 手の接触に対して馴らす練習
- 頭を軽く触っておやつを与える、という練習を数多く繰り返す
- 洗濯物に対する対応
- 犬をゲージに入れる、または他の場所でたたむ
- 散歩で歩く練習
- 動かなくなった時におやつで誘導するのはやめる
- ただ歩いているときに積極的におやつを与える
- 回数が重要なので、食餌は散歩中にしか与えない、という方法もあり
- おもちゃの対策:
- 執着しすぎるおもちゃは与えない
- 複数準備して、交換ができるようにする
- 回収せずに本人が飽きるまで遊ばせて、おもちゃの価値を下げる
- 外出時の対応
- ハウストレーニングの実施
- 知育トイで遊ばせている間に外出するのも選択肢の一つ
- 薬物療法
- フルオキセチン
- 衝動性や不安を取り除くことができるお薬です。恐怖性攻撃行動の場合、恐怖心をやわらげ、攻撃の頻度や程度を抑えることができます。
- 副作用は、食欲不振や下痢です。
再診1回目
(経過)
- 咬むような状況でも咬み付かず、唸るだけになった
- 寝ている時間が長くなり、小さな音での反応は小さくなった
- ケージの中で寝ていることが多い
- ケージに近づいても唸る頻度は下がった。
- 唸ってもマテで止まる。
(元々問題)
- ①家族に対する攻撃行動
- 唸るけど、咬み付くことはなかた
- 長くは触らないようにしているが、触っていて攻撃されるようなことはない。
- ②手を舐める/爪を咬む行動
- 頻度は減っている。
- ③散歩で歩かない
- ココはちょっとあまり変わらない
- ④人が出かけるときに吠える
(副作用)
- 食欲あり。
- 排便の形状も頻度も変わらず。
- 特に重大な副作用は見られていない
(処方)
- フルオキセチンの効果が出ていると評価できるため、継続して処方する
再診2回目
(経過)
- 2週間前までは落ち着いていた。
- 3週間前にトリミングして、今までと違ってやりやすかったと言われた。
- 攻撃行動の発生
- 前回の攻撃
- 洗濯物をたたんでいた。
- 近くにSちゃんがいて、手が近くに行って、咬まれた。
- 攻撃後の状況
- 急に飛びかかるような行動が少し見られる
- 先月より増えている感じ。
- 前回の攻撃
- 舐める行動
- 少し増えた気がする。
- 散歩で歩かない
- 猫を探す行動が増えた
- 猫を見つけたら、ずっと待っている。
- 人が出かけるときに吠える
- 特に変化なし。
(評価)
- トリミングは良くなったのは良い評価
- 年末年始に生活が不安定になった。
- 再度、日常に戻ってもらい、攻撃が発生しないかどうか見守っていくべき
- 攻撃が再燃するようなら、フルオキセチンの用量を増やす
- このままおちついていくようなら現在の用量で維持する。
(指導内容)
- 散歩については、フードを持って行ってもらう。
(処方)
- フルオキセチン 継続処方

