症例 サブロー(仮) 柴 16歳齢 雄
家の中をぐるぐる歩いていたのですが、最近足腰が弱くなってきて、立ち上がりにくくなり、歩いていても上手くバランスがとれなくなってきています。倒れてしまうと吠えるので、再度サポートして立たせるのですが、結局上手く歩けません。排泄時も踏ん張りが利かない時がよく見られます。私がハーネスを持って支えながら歩かせていますが、なかなか大変で…。何かアドバイスをいただきたいです。
回答:ハーネスや車いすを利用して寝たきりにさせないように
足腰が弱くなってくると、特に後ろ足が立たなくなり、歩けなくなることは高齢犬では認知症の有る無しに関わらず、よくあることです。認知症ではそれに加えて、認知機能の低下により状況を理解しにくくなっているため「歩きたいけど歩けない」「立ち上がりたいけど立ち上がれない」という状況で、吠えが強くなったり、バタバタと足を動かしてどうにか立ち上がろうとするなどの行動が見られることがよくあります。そうした姿を見ると、「どうにかしてあげたい」「何とかしてあげなきゃ」と思い、胸が苦しくなる飼い主さんも多いと思います。
まず、床が滑りやすくて上手く歩けないという場合は、滑り止めが必要です。床に滑り止めとなるクッションやマットを敷いてあげることで歩きやすくなることはあります。また、『Toe Grips』という、爪に装着するタイプの滑り止めが役に立つことがあります。
後ろ足に力が入らなくなってきたら、手で支えてあげながら歩かせてあげることも必要です。前足の力が残っているようなら、後ろ足さえ支えれば歩くことができます。後ろ足を吊り上げる、介護用ハーネスを使うのもよいでしょう。ハーネスを使えば散歩にもいけると言うことなら是非行った方が良いです。
犬用車いすを使うという方法もありますが、車いすを使ったことない犬が、認知症になって筋力も衰えた状態で使い方を覚えると言うのは少しハードルが高いです。もし使うとすれば、後肢のみ2輪の車いすではなく、上半身を含めて身体全体を預けることができる4輪の車いすの方が良いでしょう。4輪の車いすにのっていれば、足を動かせば思い通りに行かなくてもある程度動くことができるかもしれません。
足腰の弱りや、排泄の問題に対しては、漢方薬や漢方サプリメントが使われることもあります。漢方に詳しい先生出ないと出してもらえないかもしれませんが、選択肢の一つとして考えても良いかもしれません。
寝たきりにしてしまうと、身体的な衰えが加速していきます。身体を動かせないことで硬直していきます。褥瘡ができてしまうこともあります。可能な限り筋肉と関節を動かす機会を作るとよいでしょう。本人に歩きたい意思があるならば、その気持ちを尊重して、なるべく歩かせてあげるとよいでしょう。