ご相談の主旨

  • 家族に対する攻撃行動
  • ここ1年咬まれていなかったが、1年ぶりに咬まれてしまったことをきっかけに相談
  • 宅配業者など外の人に対しての攻撃も強くなってきたため、相談したい

基本の情報

  • 犬種:イングリッシュスプリンガースパニエル
  • 年齢:4歳10か月
  • 性別:オス、去勢済み
  • 飼い主さんは、60代ご夫婦と20代娘さんの3人
  • 同居犬2頭と一緒に、基本的にリビングで生活している

家族に対する攻撃(咬みつき)の経歴

  • 1歳半くらいの時、犬が食事中に食器を動かそうとすると攻撃したことがあったが、現在はコントロールできている。
  • 1歳半くらいから、犬が物を咬んでいる時に取り上げようとすると攻撃することがある。テーブルの上にある物を落として咬むことは毎晩発生しているが、特に必要ない物なら興味がなくなるまでやらせて、大切な物は刺激しないよう注意して回収しているため、攻撃には至っていない。
  • 2歳半ころから、犬が寝ている時に触ると咬むことがある。ソファで寝ていた犬の近くでお母さんがしゃがんだり、娘さんが犬を触ったりした時に攻撃が発生した。そのほかにも、寝ている犬に近づいて攻撃されることがしばしばあった。それ以降は、寝ている時は触らないようにしているため、頻度は減っている。
  • ここ1~2年、宅配業者など、知らない人間の来客だと攻撃するようになった。玄関からすり抜けて宅配業者を攻撃したり、電気業者が屋内に入った際に、犬を止めようとしたお母さんに攻撃をした。
  • ここ1~2年、散歩時に人が寄ってきたり、声をかけられると攻撃するようになった。
  • 一番最近は2~3週間前、おやつをねだって興奮している状態の犬の横を通ったお父さんに対して攻撃が発生しており、手指を縫う傷を負っている。
  • 攻撃行動のほかに、散歩に行こうとリードをつけようとするとジャンプするなどして興奮してしまうため、なかなか散歩に行くことが出来ず困っている。現在、週に1~2回しか行けていない。

お話し

  • 今回の問題行動に関しては、物を守る行動は、物をもっていってしまうことが多いとのことで、家が片付いていないことが大きな原因になっていると思われます。まずは家を片付けてシンプルにすることで、リスクを減らすことができるでしょう。
  • 夜寝ている時の攻撃については、夢を見ていたといった要因、睡眠や覚醒のレベルが影響して、驚いて咬みついている可能性が高いでしょう。2~3歳の時は、その状況と飼い主さんの接近を関連付けて、寝ているときに飼い主さんが近づくと嫌なことが起きると学習し、警戒心が高い状況にあったのかもしれません。
  • 他人に対する攻撃は、来客や散歩中に発生していますが、はじめのきっかけはわかりませんが、警戒心や侵入者から防衛する意識からの攻撃であると考えられます。
  • 散歩に行く際の興奮は、散歩に行く機会が少ないことで、散歩に対する期待感が高くなりすぎている面があると思います。散歩にいくための道具を工夫して、もっと頻繁に散歩に行けるようになることが大切です。
  • 生活環境の改善や、使う道具を工夫することによりリスクを下げていくことができると思われます。1回の攻撃の程度が強いので、できる限りリスクを下げる意識をもって、対応するようにしていきましょう。

具体的な対応策

  • ドッグガードの設置(来客への攻撃リスクの回避)
  • ハウスリードをつけておく(散歩用のリードを付けやすくする工夫)
  • スリップカラーを使う(散歩用のリードを付けやすくする工夫)
  • ヘッドカラーを使う(散歩時の引っ張りを防止し、攻撃リスクを軽減)
  • 部屋を片付ける(物を取り上げる機会を減らし、攻撃リスクを軽減)
  • 犬の寝床を用意する(犬の安心できる環境を整備し、攻撃リスクを軽減)

薬物療法について

  • 今回の場合、薬物療法も一つの選択肢ではあります。
  • 今回はオンライン行動カウンセリングなので、処方することはできませんが、必要であれば、処方できる方法を検討いたします。