先日、ご家族に対して咬む行動でお困りのミニチュア・シュナウザーさんの往診に伺いました。
今回は先にオンライン診察でお話を伺い、今後の治療にお薬が必要と考えたため、一度往診で対面した上で処方することになりました。
子犬の頃から咬む行動が目立ち、現在は、急にスイッチが入った時(今回の場合、わんちゃんが寝起きでぼんやりしている時にご家族が動く、ということがスイッチでした)にいきなり咬んで来ること、物を守って咬むことに関して特にお困りとのことでした。
これまでもトレーナーさんに来てもらったり、生活環境を整えたり、ご家族が関わり方に注意したり、と工夫していただいているおかげで少しずつ改善してきてはいるのですが、やはり攻撃の程度がかなり激しいことから、今回当院を受診されました。
カメラ目線ばっちりなイケメンシュナさんでした!
往診時、最初は家の中に入ってくる私に警戒して吠えていましたが、おやつをあげたり落ち着いて関わったりすることで、比較的早い段階で慣れてくれました。
家族のお話でも、前回のオンライン診察以降、咬んだことは一度もなかったとのことでとても安心しました。
また、「オスワリ」を上手に使いながら、いざという時の移動も問題なくできているとのことでした。
今後も、ご家族には対策を万全にしていただきつつ、内服開始後の体調の変化、行動の変化などについてしっかり経過を伺いながら、治療を続けていきます。
今回のように、わずかな刺激によって感情が爆発して、突発的に強い攻撃行動が出てしまう、物に対する執着が異常に強い、などの症状がある場合、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」という物質が不足していることが多く、薬物療法が有効な場合が多いです。
薬にはいくつか種類がありますが、今回処方した「フルオキセチン」という薬は、少ないセロトニンを上手に使えるように脳内を整えてくれるお薬で、心のゆとりを作ってくれるような効果があります。薬を飲めばそれで一切攻撃が出なくなる、という訳ではないのですが、
- これまででは攻撃が生じていたような刺激・場面で、攻撃をしなくなった
- いきなり咬みつくのではなく、その前段階のマイルドな意思表示(唸るなど)をするようになった
- 攻撃の程度や回数が下がった
- 物への執着が薄れ、交換に応じてくれるようになった・守る対象が減った
- 顔つきが穏やかになった
といった形で効果を実感できることが多いです。
お薬によって犬の心にゆとりが生まれた状態だと、刺激に慣らしたり、トレーニングをしたりといった行動療法も取り入れやすくなります。
また、人間側もあれこれ気を付けて対策するとはいえ、やはり人間ですから「ついうっかり」は生じます。こうした場合でも、お薬によって犬の反応や興奮の程度が下がっていれば、激しい攻撃まで至らずに済みます。
これまでだったら危なかった場面でも大丈夫だった、という経験は、ご家族にとっても大きな安心に繋がりますよね。
突発的に激しい行動があるので恐怖を感じている、物への執着が強すぎる、などでお困りの方は、もしかしたらお薬を使うことで少し楽になるかもしれません。どんな治療があるの?どんな薬があるの?など、お気軽に行動診療科に相談してくださいね。
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