そもそも、社会化ってなんだっけ?パピークラス|オンライン
子犬の社会化って知っていますか?
「なになに!?聞いたことないよ?」「ああ、なんかしつけの本に書いてあったかも」と思われるかもしれませんね。
社会化とは、『犬たちが、将来出会うことになる、知らない人や、知らない犬、車・自転車、工事現場の騒音など、様々な刺激に慣れること』を指します。
- 犬や、人や、物音に過剰に怖がってしまったり・・・
- 家に人が来ると、吠え続けてしまったり・・・
- 知らない人に咬みついてしまったり・・・
実は、これらの問題は、犬や人や様々な刺激に子犬の頃に慣れることができなかった、
つまり『社会化不足』が大きな原因となっているのです!!
ワクチンが終わるまで外に出さないのはNG!?
よく獣医さんに「ワクチンが終了するまでは散歩させちゃいけませんよ~」って言われますよね。
感染症を防ぐために散歩させちゃいけないのはこれはもう当然なんです。
それで皆さん、「ワクチン終了するまではお外に行くのはやめようね~」って思うんですけど、実はこれが大きな間違いなんです。!!
"散歩"させちゃいけないだけで、"外に出しちゃいけない"わけではなく、むしろ"外に出さなきゃいけないんです"
その理由は『社会化』です。
実は犬がいろんな刺激に慣れることができる期間、これを社会化期といいますが、社会化期は生後4週~13週とされています。
ワクチンを3回打つと、3回目が終わるのが14週~16週ぐらいになります。なので、それまで待っていたら社会化期が終わってしまうのです。
そして、16週を過ぎると、警戒心や不安を感じやすくなっていきます。特にこれまで経験した刺激の少ない子は安全安心を経験していないので、不安の度合いが大きくなります。
ワクチンが終わるまでの期間、ず~と家の中にいて、知らない人に出会ったり、知らない犬に出会ったり、知らない音を聴いたりできず、外の世界を何も知らなければ、他の犬や知らない人に対して過剰な恐怖を抱くこととなって、過剰に吠えたり、ビクビクして散歩ができない子になったりしてしまいます。
当サイトのご紹介
当WEBサイトは、岐阜県岐阜市で行動診療を行っている、ぎふ動物行動クリニックが運営しています。当クリニックの院長奥田は、2017年に日本で8人目となる獣医行動診療科認定医を取得しています。
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こちらも是非ご一読ください。
社会化できないと、毎日ストレスにさらされる!
愛犬がストレス社会で生きていくのか、愛犬が安心してリラックスして生きていくのか、
愛犬には安心して幸せな生活を送って欲しいと思うのが人情ですよね。
"愛犬の心の健康"社会化期がその多くを決定するといっても過言ではありません。
犬にも、人と同じく心があります。
強いストレスを感じたり、ストレスから身体の異常が表れる場合もあります。
それら心の発達、すなわち脳神経の発達は、人とは違い急激な成長を遂げます。その脳神経の発達が一番急速に起こる時期が、社会化期です。人間でいえば、生後6か月~3才までの2年半の成長を、犬はこの10週でしてしまうと思ってください。
人間の子どもを3才まで外に出さなかったらどうなると思いますか?きっと、外が怖くて幼稚園などにも普通に通うことが難しくなってしまうと思います。外で出あう、人や犬や自転車は、と~っても怖いお化けに見えるかもしれません。
できるだけはやく、外に出て、いろいろな刺激に慣らしてあげましょう!
抱っこしてお散歩に出かけよう!
子犬は家に迎えた時点で、8週~12週ということがほとんどだと思います。なので、刺激に慣らすのは、早ければ早いに越したとこはないんですね。
社会化期の間に、知らない人や、犬や、車・自転車、大きな音など様々な刺激に慣らす必要があるのです。特に人に関しては、生後13週までに100人の人と触れ合うことが、世界基準になっています。
「でも、散歩できないのにどうやって外に連れ出すの~(汗)」
と思われる方、大丈夫です。
今日から"抱っこして"お散歩に出かけてください☆
病原体がいる可能性のある、地面に下さないようにしてあげれば、ワクチンが終了していなくても感染するリスクは大いに下げることができます。
※獣医師によって見解が異なる部分もあるので、かかりつけの獣医さんに確認してみてくださいね。
抱っこして、いろいろなものを見せ、聞かせ、感じさせてください。
積極的な社会化が、犬と家族の将来を決める
「将来、問題行動なく、心穏やかな子に育てたい。しっかり社会化したいのだけど・・・」と思う方も多いですよね。
抱っこしてお散歩にでかけたら十分なのかというと、お散歩だけでは不十分です!散歩だけでは必要な社会化の10%~20%くらいしか満たすことはできません。
というのも、前項のとおり、100人の人と触れ合ったり、他の犬と感染症を予防しつつ安全に過ごす経験をすることは、散歩だけではできないからです。
どうしたらいいかというと、現実的なものは2つあります!
①ホームパーティを開く
②パピークラスに参加する です。
積極的に社会化の機会を作っていくことが、将来安心して信頼しあえる犬と家族の関係を作ります。
ホームパーティを開こう!
ホームパーティは、多くの友達がいる方は、是非実施してみてください。多くの人に愛犬を披露し、フードをあげてもらうなどのコミュニケーションをとってみてください!
とはいえ、これは海外で良く用いられる手法です。友達を頻繁に家に招く習慣のあまりない日本人にはハードルが高いかもしれませんね。かくいう筆者は、愛犬さぶの時は、ホームパーティではないですが、大学の後輩に日替わりで世話をしてもらうという形で、多くの人に社会化していきました。
パピークラスで犬も人も学ぼう!
パピークラスは、他の子犬や他の飼い主さんがいること、そして社会化だけでなくインストラクター(家庭犬トレーナー)から様々なしつけのコツを習うことができるのが魅力です!
特に小さい頃は色々と相談したいこともたくさん出てきます。そういう時に気軽に相談できるインストラクターがいることで、間違いをただし、適切な飼育法を実践することができます。
ネックとしては、参加できる地域にパピークラスを実施している場所が見つからない場合があることや、お金(そんなに高くないと思います)がかかることが挙げられます。
抱っこ散歩・ホームパーティ・パピークラスこの3つのうち、本当は3つともやりたいところですが、少なくとも2つは実施できるといいかな~と思います。
しつけは法律で定められていた!?
話しは変わりますが、実はしつけの実施は法律で定められている飼い主の責務です。
『動物愛護管理法、第7条、動物の所有者および占有者の責務等』の中にあります。
その法律を説明した環境省のホームページには、『動物の種類に応じてしつけや訓練をして、人に危害を加えたり、鳴き声などで近隣に迷惑をかけることのないようにしましょう。』と記載されています。
とはいえ皆さん、法律で定められているなんて知らないですよね~。
今は、かなり状況が悪化しないと、保健所や警察も取り締まりを行っていないのです。
が、実は2013年9月に動物愛護管理法が改正され、罰則が強化されました。
改正法では、虐待・ネグレストや遺棄などの場合、最高で懲役2年・罰金200万円を課せられることっもあるそうです。
びっくりですね~。
犬を育てるには手間がかかる・・・
ここまで社会化についてお話ししてきましたが、社会化だけでも、きちんと実施するのはすごく手間がかかりますよね。
この他に、
- 適切な環境設置で失敗を防ぐ
- 1歳まではハウスリードをつけ生活ルールを教える
- 飼い主さんが適切なリーダーシップを発揮する
- 散歩のマナーを覚える
- クレートトレーニングで万が一の被災に備える ・・・などなど
犬を迎え、きちんと丁寧に育てるのは、本当に手間がかかります。
「やるべきなのはわかっているけど、そこまではなかなか・・・」
と思ってしまうのは、正直なところだと思います。
本来ならば、積極的な教育が3歳まで必要で、それで家庭でも社会でもマナーをもって行動できて、きちんと法律を守れる犬に育てることができます。人に危害を加えない、生活環境を守るという最低限の法律は守りたいところですが、それを守ることだけでも大変です。
筆者自身、正直、めんどくさいです。
けれど、せっかく迎えた子なので、最低限、心に不安の少ない子に育ててあげたいと筆者自身は思います。
吠える・咬む、問題行動は犬の心のSOS
うちには2匹犬がいて、1匹は小さい頃から育ててるんですが、もう1匹は保健所から譲り受けました。
その子は、あまりにもビクビクしすぎて、貰い手がつかなかった子です。
で、その子、柴犬のしんちゃんって言うんですけど、しんちゃんは、1歳くらいの時に家に来ました。
しんちゃん、人が見ている前ではゴハンを食べようとしなくて、僕の手からおやつを食べれるようになったのが、家に来てから3週間後でした。
今、僕の家に来てから1年が経ちましたが、スクールのスタッフ4人と僕のルームシェアしている友人には、慣れてきたし、知らない人からも少しずつおやつをもらえるようになってきました。
それでも、散歩の時は知らない人とすれ違う時はとても緊張してしまうし、知らない場所に行くとうんちを漏らしてしまいます。
しんちゃんは、珍しい例かもしれませんが、散歩中に犬に吠えてしまったり、人が家に来るとずっと吠えている子が、少なからずいるのはご存じのとおりだと思います。
飼い主さんの3人に1人が吠える問題で、4人に1人が咬む問題で悩んでいるという調査が公表されています。吠える問題、咬む問題は、自分や家族、地域の方に迷惑になり、法律違反にもなってしまうのは前にも述べました。
けれど、これらの行動は、犬たちが不安やストレスを感じるからこそ起こる行動です。
不安だから吠えるし、ストレスがかかるから咬むということが多くを占めます。
吠える問題、咬む問題は、犬たちの心のSOSだということをお忘れなく。
当サイトのご紹介
当WEBサイトは、岐阜県岐阜市で行動診療を行っている、ぎふ動物行動クリニックが運営しています。当クリニックの院長奥田は、2017年に日本で8人目となる獣医行動診療科認定医を取得しています。
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こちらも是非ご一読ください。
犬の親になる、犬の一番の理解者となる
咬まないようにしたい、吠えないようにしたい、飼い主さんはそう思ってしつけをされますよね。
咬まない、吠えない、落ち着きをもってというのは、とても大事なことです。
自分が、そして地域社会が困らないようにしっかりしつけをするというのは、最低限必要なことです。
そして、それと同時に、犬のために、犬の心の発達、犬がストレスなく幸せになるためにも、犬を適切に育むことも、とても大切なことだと私は思います。
犬育てを学ぶことは、犬について学ぶことです。
犬をしつけるのは簡単ではありません。
でも、自分が学び、自分が変わることは、自分の心がけ次第でいくらでもできます。
もちろん難しいですけどね。
犬をきちんと育てることは、飼い主さんがきちんと良き飼い主さんに育つこと、犬の親として成長していくことでもあります。
是非、犬について学び、自分が良き飼い主、良き親になることで、犬をいい子に育てられるように頑張っていきましょう!