ご相談の主旨

  • 他人に対する吠え行動についてご相談いただきました。
    • 散歩の際に、人や犬に対して攻撃的に吠える
    • 車に乗っている時に、他の車に乗っている人や歩行者に吠える
    • 来客に対して吠える
      • インターホンが鳴ると吠える
      • 人によって帰るまで吠える場合と、止まる場合がある
      • 2歳の孫に対してはずっと吠えている
      • 家の中で他人が抱っこしようとした時に咬んでしまったことがある
    • 動物病院でも獣医師や看護師によっては吠えることがある

基本の情報

  • 犬種:チワワ
  • 年齢:3歳7か月
  • 性別:メス(不妊手術済み)
  • 既往歴:アレルギーにより皮膚に痒みがあるため、療法食と薬剤で治療中。
  • 元気・食欲は問題なし。散歩は1日1時間程度行っている。
  • 飼い主さんは、ご夫婦で二人暮らし。
  • 1歳の頃に引越して、現在はマンションに住んでいる。

お散歩中の他人に対する吠えの発生状況

  • 発生の経緯:生後4か月の頃から散歩に行き始めたが、当時から散歩中人とすれ違う時には吠えていたものの、すれ違う人自体が少なかったため、吠える機会も少なかった。引っ越し後、人に出会う頻度が高くなり、吠えることも多くなった。
  • 発生の状況
    • 自宅マンションから散歩に出る時、抱っこまたはバギーに乗せている状態で、人に出会うと吠える。バギーは一部メッシュになっており、外が少し見える。
    • 動物病院では、クレートに入れて布かぶせている。布をかぶせておくと多少吠えは少ないものの、全く吠えないということはない。
    • 散歩中に人や犬とすれ違うと吠える。
    • 公園に散歩に行った際、人がいても公園に入ることはでき、吠えない。人が近づいてくると吠える。
  • 普段の対応:全て避けるようにしているわけではなく、犬の様子から、明らかに吠えると思われる時は避けて通るが、吠えるかどうか明らかにはわからないときは、明確に避けるわけではない。
  • 過去の対応:おやつを使って気を引く対応もしてみたが、おやつを口に入れた時には吠えないものの、慌てて食べてからその後吠えていた。体重の増加も気になって、おやつを使うのは止めた。

自宅での来客への吠えの発生状況

  • 発生状況:遠方に住む息子さんご家族が遊びに来た時、息子さんご夫婦にはすぐ馴れたが、2歳のお孫さんにだけはずっと吠え続けていた。違う部屋にいて、お孫さんが見えない状態なら吠えなかった。

吠えに対するこれまでの対応・相談

  • 犬の幼稚園に行き、預けている間に他の犬に馴らしてもらった。4か月間通ったが、成果はなかったため、やめた。
  • 警察犬訓練所に1か月間預けて訓練してもらおうと考えたが、飼い主が自分で訓練しないと意味がないと聞いてやめた。

お話し

  • 問題行動の状況をお伺いした限り、他人(特に子ども)に対する警戒心からの吠えが発生していると考えられます。
  • これまでに、犬の幼稚園などで指導をしていただいた内容とも一致するかと思いますが、散歩中に吠える行動を和らげていくには、おやつを使っていくことは重要です。
  • 太ってしまったので、ごはんの量を減らしているということですが、散歩中に喜んで食べられるようなら、おやつを使うのではなくごはんを使う形でもいいでしょう。野菜の方が好きなら野菜を持っていくのもよいと思います。
  • 人が来た時におやつを与えれば良いのではなく、結果として人に対して吠えさせないことが重要です。そのためには、適切な距離をとることの方がおやつを使うことよりも重要です。吠えてしまったということは距離が近すぎるということです。吠えない距離をとって、おやつを与えるようにしましょう。
  • はじめは吠えない距離が10Mかもしれません。しかし、吠えさせずにおやつを与えることを繰り返していくと、徐々に9M、8Mでも吠えにくくなっていきます。急に近づけすぎずに、十分な距離をとって、練習することが大切です。
  • 散歩中1回も吠えなかったという状態を目指して散歩のルートを設計するようにしましょう。
  • 現状では、きちんと距離をとって吠えない状況を確保することが大切ですが、将来的に吠えにくくするためにより積極的にトレーニングする上では、散歩中に吠える以外の行動の指示(オスワリ/マテ)などを行い、それを褒めるようにすることが必要となります。
  • 来客に関しては、お孫さんについては年に1回ということで、馴らすことは難しいでしょう。少なくとも6歳くらいになってこないと、人間の方が落ち着いた行動をとることができないと思います。それまでは、別の部屋で管理するか、ペットホテルに預けるなどの対応をしましょう。
  • これらの練習や対応を進めていくにあたっては、実地で指導してもらえる指導者(信頼できるドッグトレーナーなど)がいた方が良いでしょう。

具体的な対応策

  • ご飯の量を減らす/報酬として使えるものを探す
    • すでにご飯の量を減らしてもらっていますが、太るようならもう少し減らしてもいいかと思います。その方が食欲も上がります。
    • あまりにも食餌を減らしているのに体重が減らない場合は、場合によってはホルモンの病気の可能性もありますので、かかりつけ医に相談すると良いでしょう。
    • 食べられるものの中で、散歩中に報酬として使えるものを探しておきましょう。
  • 散歩中におやつ/ごはんを持っていく
    • 散歩中におやつ/ごはんを持っていき、与えるようにしましょう。
    • 人が来た時だけでなく、人が来ていないときも時々与えるようにしましょう。
    • 全体の食餌の1日の給与量の3分の1くらいは散歩で使って、たくさん褒めるようにしましょう。
  • 公園の森の方を散歩する
    • わざわざ人との距離が近くなるような場所ではなく、人との距離がとれるルートで散歩に行きましょう。
    • 人と接近させるから馴れるのではなく、人が近くにいたけど吠えなかったという状況を作ることで馴れるということを意識しましょう。
  • 他人に吠えない距離を見極める
    • 他人に対してわざわざ接近させることはやめて、吠えない距離を見極めるようにしていきましょう。