コンテンツへスキップ ナビゲーションに移動ご相談の主旨
- 飼い主さんに対する攻撃行動について、ご相談いただきました。
基本の情報
- 猫種:ミックス
- 年齢:6歳10ヶ月
- 性別:メス
- 飼い主さんは、20代女性、一人暮らし
- 生後1か月のときに1匹で保護された
攻撃行動(咬みつき、引っかき)の経歴
- 1歳くらいの頃、最も頻繁に攻撃が起こっていた(毎日)。飼い主さんの動き(着替え、物を拾う、歩いている など)に反応して引っかく、咬みつくなどの攻撃があった。
- かかりつけの獣医師より反応しないように指導を受けた後は、無視するようにし、ジルケーンを勧められたため飲ませた。一時的には収まっていたように感じるが、飲んでいても攻撃が発生したのでジルケーンは中止し、その後も特に変わりない。
- 2歳くらいのときに引越した後1年は攻撃が起こらなかったものの、その後はまちまちの頻度(2~3か月起きないときもあれば、週1回起きることもある)で続いている。
- 昨年末頃からは立て続けに攻撃行動がある。
- [昨年11月]布団の中で猫と一緒に寝ていて、夜中3時くらいに、威嚇する声が聞こえた。顔面を攻撃され、その後も猫は1時間ほど興奮状態だったため、飼い主さんはじっとしていた。
- [昨年12月]ベッドの上で、寝転がっていた猫を撫でていた時に手をひっこめたら攻撃された。撫でるのを止めたら、いきなり尻尾を膨らませて、興奮状態になり、30分ほど落ち着くのにかかった。
- [今年1月]ベッドの上で一緒に寝ていて、起き上がろうとしたときに、突然足に攻撃された。興奮しており、少しでも動くとさらに攻撃してくるような感じだった。
- [今年3月]ファスナー付きのクリアファイルを開けたときに近づいてきて、手を引っかかれた。尻尾を膨らませて興奮していたが、じっと動かないよう対応したところ、2~3分で落ち着いた。
- 攻撃行動に季節性は感じない。
- 朝~日中に攻撃行動が発生したことはない。
お話し
- 今回の問題行動については、どんな刺激がきっかけで発生しているかについては、はっきりしませんでした。
- 最近の攻撃行動は、飼い主さんの在宅時間は長いにも関わらず、夜間に発生が集中していることから、何らかのバイオリズムの影響はあるかもしれません。
- 寝ている時に発生しているケースが多い点から、寝ている時や、中途半端に覚醒している時に刺激が入ることで、「気持ちよく寝ていたのに邪魔された」という感覚で攻撃している可能性もありますが、はっきりはしません。
- 関心を求める行動が多く、愛情要求、遊び欲求も高いことから、そうした欲求が満たされないことにより、葛藤を生じて攻撃しているのかもしれません。
- 一人暮らしのワンルームということで、刺激があまりない中で過ごしていることは、猫の福祉に基礎的に影響していると考えられます。
- 攻撃行動に対する直接的なアプローチというよりは、猫の福祉を向上させることで、間接的に攻撃行動を発生させにくくすることができると考えられます。
具体的な対応策
- 環境刺激を増やす
- なるべく、新しいおもちゃを用意するようにしましょう。
- フードによく食いつくようなら、知育トイ(フードが入るおもちゃ)を使ってもよいでしょう。
- 遊びの時間を増やす
- 自動で遊べるおもちゃも用意するとよいでしょう。
- 猫じゃらしなどでの遊びも再開するとよいでしょう。
- なるべく毎日時間をとって遊ぶようにして、飼い主さんと関わる時間を確保し、欲求を満たすようにしましょう。
- フェリウェイの使用
- フェロモン製剤であるフェリウェイを使用することで、攻撃性や不安が抑えられることがあります。
薬物療法について
- 今回は、上記対応を行って、反応を見てから、使用するか判断することといたしました。今後、攻撃が発生するようなら、薬物療法の使用をより積極的に検討していくべきと考えます。使用する場合は、かかりつけ動物病院と連携して、処方してもらうようにしましょう。
- 今回の問題行動に使用するとすれば、SSRIが第一選択となり、使用した場合の副作用は、食欲不振、下痢、便秘、おしっこが出にくくなる、眠たくなる等です。
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