症例 ジロウ(仮) 和系雑種 16歳齢 雄
認知症と診断され、6ヶ月ほど経ちます。徘徊の症状が進行し、部屋の中でぐるぐる回り続けています。部屋の角等に引っかかり、立ち往生してしまうと吠え続けます。そういう時は方向を変えると、再び歩き出します。
もともと特に病気などなく、足腰も強い方だと思います。最近では、寝ている、ご飯食べている、排泄している時間以外は、ずっと歩き続けるもしくは吠えています。なだめて寝かせることもありますが、だいたいは自由に歩かせており、歩き疲れると、寝るという感じです。このような状態なのですが、今のままずっと歩かせておいていいのか不安です。歩かせていた方がいいでしょうか?それとも、止めるようにした方がよいでしょうか?
回答:なるべく犬の意志を尊重できるように環境を整えよう
寝ている、食べている、排泄している時間以外歩いているということで、認知症の症状としてもかなり重度の領域にあると言えます。部屋の角に引っかかると吠えるということで、歩けない状況にフラストレーションを生じ、吠えることでなんとか事態を打開しようとしている状態と考えられ、本人(本犬)自身も「歩こう・歩きたい」という意志が強いと思われます。
なだめれば、落ち着いて寝る場面もあるとのことで、そうした対応により、犬を安心させてあげて、リラックスさせることができるのであれば、よい対応だと思います。しかし、現実的には、そのような対応を毎回行うことは難しいかもしれませんね。
体を動かすこと自体は、代謝の維持にもプラスに働きますし、歩くことそのものが悪いことではありません。疲れたら自然と寝ているということですから、歩かせておくこと事態は問題ないでしょう。基本的にはぐるぐる回転しているとは思いますが、部屋の角や、家具の間に入り込まないように、クッション等で隙間をふさいだり、90度の角を作らないようにして、歩きやすい生活環境を整えてあげることが大切です。円形のサークルを使うことで、角に引っかからないように歩くことができるかもしれません。
また、足腰は強いと言うことですが、特定の動きを続けることで、足先が擦れてしまうこともありますし、年齢的にも徐々に踏ん張りが利かなくなってくる可能性もあります。滑らないクッションを敷いてあげるなどの工夫も大切です。