柴犬の子犬の問題で、最も相談が多いのが、噛みつきです。
まだ歯が生え変わっておらず、鋭いために手が傷だらけになってしまう飼い主さんも多くいらっしゃいます。
子犬が噛むと言っても、実は動機(きっかけ)があります。噛むことを止めていくために、すべての噛みつきを一つの方法で止めることはできません。それぞれの動機を知り、動機に合った対処法を用いることが重要です。ここでは特に子犬に焦点を当てて、柴犬の子犬の噛みつきへの対処法をお伝えします。
柴犬の子犬のしつけ(噛みつきの動機と種類)もご参照ください。
当サイトについて
当WEBサイトは、岐阜県岐阜市で行動診療を行っている、ぎふ動物行動クリニックが運営しています。当クリニックの院長奥田は、2017年に日本で8人目となる獣医行動診療科認定医を取得しています。
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こちらも是非ご一読ください。
適切な治療を行えば、多くの症例で症状が緩和されます。症状が悪化する前に、行動診療を行っている獣医師にご相談にお越しください。わからないこと、不安なことがあれば、当院にお気軽にお問合せください。
(ぎふ動物行動クリニック 獣医行動診療科認定医 奥田順之)
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①遊んでいて興奮して咬む
子犬の咬みつきで一番多いのが、遊んでいて興奮してきた延長で咬むというものです。しかし、歯がとがっていたり興奮しすぎていることで力の加減ができなくなり、飼い主さんの手から血が出ることもあります。
サークルから出す時間を短くし、こまめに出す
こうした噛みつき対する対処法としては、手が負えないくらい興奮する前にブレイクするということが大切です。興奮してきて咬む場合、サークルから出してしばらくは大丈夫だけど、徐々に咬みつきが強くなることが多くあります。この場合、徐々に強くなる前に一度サークルに戻す様にし、こまめに回数多く出してあげるようにすることで改善されることが有ります。長く出し過ぎることは、あえて噛みつきを助長している様なものです。1回10分を回数多く出してあげるようにします。
ハウスリードをつける
サークルから出してすぐに興奮して咬んでくる場合は、ハウスリードをつけて咬まれないようにしましょう。オスワリができる様なら、サークルから出すときは、オスワリをさせ、リードをつけてから出すようにすることで、サークルから出たらいきなり噛まれるということは少なくなります。ハウスリードをつけておくことで噛もうとした時に止めることもできます。
遊びの時間を増やす
子犬は遊んでいて興奮しやすいですが、遊びが足りていない場合、サークルから出すとすぐに興奮することもあります。引っ張りっこ遊びなど体を十分に使う遊びをしてあげましょう。
手に噛みついたら遊びを中断する
ロープなどで遊んでいるとき、ロープに噛みついてくるようならOKです。遊びをしっかりしてあげましょう。テンションが上がってくると手に来るかもしれませんので、制御できない様なら一度休憩を挟みましょう。しかし手に噛みつきに来てしまう場合もあります。その時は「イタイ!」と言ってあげて、遊びを中断します。手に噛みついたら遊びが終わってしまうと教えるんですね。遊びを中断する際は立ち上がることをお勧めします。立ち上がらないと結局噛まれてしまい遊んでいるのと同じことになります。また声を出すとテンションが余計上がる場合は、痛い!というジェスチャーのみで声は出さずに行うこともよいでしょう。
遊んでいて興奮して咬む場合は、まずは興奮させすぎないことです。興奮しすぎている時に痛い!って言っても分かりません。ある程度のテンションの状態で噛みついたら楽しいことが終わるんだということを教えていきましょう。
②触られること・拘束が嫌で咬む
次に触られると噛む、リードをつなごうとすると噛むというものがあります。これは触られることが嫌だったり、リードをつながれて動きを拘束されることが嫌というのが動機です。抱っこしようとすると噛む、ブラッシングをする噛む、リードを着けようとすると噛む、ハーネスを着けようとすると噛む、サークルに入れようと子犬を追いかけ捕まえようとすると噛む等がこれに当たります。
触られることが苦手だと理解する
まずは、触ろうとすると噛むということは、触られるのが嫌であることを理解してあげましょう。触ろうとすると噛むという犬の飼い主さんは、多くの場合、愛犬を「なでてあげる」のが好きな方がいらっしゃいます。「なでてあげる」つもりでも、犬にしては迷惑と言うことがほとんどです。8割の犬はハグが苦手との研究もあります。
触られることに馴らす練習
触られることに馴らす練習をすることで、日常生活での接触で噛まれることはほとんど予防できます。しかし、そもそも触られるのが苦手な犬の場合、撫でまわしても大丈夫になるわけではないですし、そもそも撫でられるのがそんなに好きじゃない犬を撫でないようにしてあげましょう。触られることに馴らすには、オヤツを使います。軽く触るあるいは軽く首輪を掴むなどをした後にオヤツを与えます。これを繰り返していくうちに、徐々に、触られた後にいいことがあることを学習し、触られることを受け入れられるようになります。また、この馴らす練習は、専門家の指導の元行うことをお勧めします。
③かまってほしくて咬む
かまってほしくって咬んでくるということもあります。靴下の上から足をかじってくる、スリッパをかじってくるなどをすることがあるかもしれませんが、そういうことをすると「もう!」とか「ダメダメ」「ヤメテー!」と言う形で飼い主さんにかまってもらえるんですね。
かまえない時は、サークルに入れる
かまってほしくて噛む場合は、まずはかまえない時、相手ができない時はサークルに入れておくということが重要です。まずはサークルに入れることで行動を管理し、かませないようにしましょう。
遊びの時間を多くする
かまってほしいのは欲求不満の表れかもしれません。しっかり遊んであげる、外に遊びに行くなどを行うことで、欲求を満たし、メリハリのついた生活を送らせてあげるようにしましょう。
④その他の咬みつき
咬みつきを伴う攻撃行動には多数の種類があり、犬それぞれに動機づけは異なってきます。子犬の場合、上記3つが多いわけですが、その他の咬みつきの可能性も十分に考えられます。
例えば、お皿を守って咬む場合もありますし、葛藤を処理しきれずに咬む場合、犬への攻撃や恐怖の転嫁性で咬む場合などもあります。
それぞれの動機づけで対処法が異なってきますので、噛みつきが強度の場合は、しっかりと専門家のカウンセリングを受けて、対処していく必要があります。
それぞれの動機に合った対処を
①遊んでいて興奮して噛む、②触られることや拘束が嫌で噛む、③かまってほしくて噛む、それぞれの動機によって対処法は異なります。
例えば、『子犬に噛まれたら「イタイ!」といいなさい』という指導は良くありますが、②触られることや拘束が嫌で噛む場合に、「イタイ!」と言ったところで、『良かった。噛んだら逃げられた。今度も同じ状況になったら噛もう』ということを学習させるだけです。
どのような状況で噛んでいるかしっかり判断して、適切な対処法を実施しましょう。