こんにちは!
こちらのQ&A記事では飼い主さんから実際に寄せられたご相談をご紹介します。
今回のご相談はこちら!
「人がいないと吠え続けます」「留守番中もどうやら吠えているようです」
「誰かが近くにいたり構ったりすると吠えなくなります」
なるほど…ちなみに今回のわんちゃんは高齢の子です。
引っ越したばかりで、2階を生活スペースにしているとのことでした。
わんちゃんの吠えで悩まれている方は多いんじゃないでしょうか?
近所に迷惑が…とか考えると困ってしまいますよね。
詳しくお話を聞かせていただき、実際に下記のようなアドバイスをさせていただきました。
【診断やアドバイス】(獣医行動診療科認定医 鵜海敦士)
<問題となっている状況の原因>
今回の吠える行動の問題は、引っ越しに関連した不安から始まった吠え行動であったと考えられますが、吠えることによって家族が2階に上がってくることで不安が軽減されたこと、関心を引くことができたことを繰り返したことによって、吠える行動が強化された結果、発生している行動と考えられます。
以上は現段階で得られた情報での判断ですが、高齢ですので、何らかの身体の不調が関係している可能性も否定できません。既に血液検査等もされているとのことですが、その結果も合わせて検討していくことも必要でしょう。
<対応の方針>
まずは、わんちゃんが不安を感じないよう対応することと、その状況に対してひとりでいられるようにしていく練習が重要になってきます。
また、日常の中でむやみに関心を向ける機会を減らすことにより、意図せずに吠える行動を強化しないようにします。
<具体的な対応と対策>
■知育玩具の活用
KONGを積極的に利用していただき、頭と体を使って発散する機会を多くし、ゆっくりゴハンを食べられることにより、飼い主さんがいなくなることに対する不安感を軽減しましょう。
■ハウストレーニング
今後ハウスの中で落ち着いて待てるようにするため、少しづつハウスのトレーニングを進めていきましょう。まず最初は、自分の足でハウスの中に入るようになりましょう。
■サプリメントの使用、薬物療法
不安感をわんちゃん自身で抑えることはすぐには困難のため、サプリメントや頓服的にお薬を利用していきましょう。(必要がなくなれば順次減らしていきます)
◎ ジルケーン
ジルケーンは牛乳生まれの健康食品で、ミルクに含まれるタンパク質のカゼインを分解したα-カソゼビンを主成分としています。下記のベンゾジアゼピン系薬と同様に、GABA受容体に作用すると考えられ、犬猫に対し抗不安作用が期待できます。
◎ ジアゼパム(頓服使用)
ジアゼパムは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬と呼ばれる薬で、不安を和らげる作用と同時に、脳全体の活性を落とす作用があります。
飼い主さんの外出時に不安感が高まるため、外出の30分ほど前に飲ませるようにしましょう。
以上が今回のご相談に対しての回答でした。
その後は練習も上手くやっていただけ、日に日にひとりでいることへの不安感が減り、大きな問題なく過ごせるようになっていきました。
今回のわんちゃんの様に、ある程度の年齢になってからも、大きな環境の変化や家族との関係性の変化などにより不安感が高まります。
また、高齢になるにつれて身体機能も衰えたり、感覚的にも鈍くなってしまい、そこから不安を感じるようになる子もいます。
もし、「以前よりも落ち着きが無くなってきた」、「不安そうにする仕草が増えた」、「寝られなくなってきた」、そういったことを感じられたら、一度行動診療科へご相談いただけると良いかと思います。
また、本記事が同じ状況で困っておられる方の参考になれば幸いです。