柴犬は、噛む・攻撃行動の最も発生しやすい犬種です。

咬みつく柴犬を飼われている飼い主さんは
『育て方が悪かった』・『しつけられない飼い主のせい』
などの指摘をされることもあるかと思います。

「柴犬のしつけ」でいろいろ調べてみても

『飼い主がリーダーになる!』
『毅然とした態度で』
『上下関係を分からせる』

などの情報が出てきます。

そして

『リーダーウォークをやってみたけどむしろ悪化した』
『上下関係を分からせようと戦ったけど負けた』
『すごく怯えるようになった』

などの副作用が出ることもあります。

『抱っこできない』
『食事に関連して攻撃的になる』
『犬歯が刺さる程咬まれた』
『これまでに10針以上縫っている』

切実な悩みを抱える柴犬の飼い主さんは多くいらっしゃると思います。

実は、柴犬の強度の攻撃行動は、しつけの問題だけで発生するわけではなく、身体の疾患が影響していたり、脳機能の問題で起こる場合もあります。そして、柴犬の強度の攻撃行動では、その可能性は他の犬種に比べて高いように感じます。

当サイトについて

当WEBサイトは、岐阜県岐阜市で行動診療を行っている、ぎふ動物行動クリニックが運営しています。当クリニックの院長奥田は、2017年に日本で8人目となる獣医行動診療科認定医を取得しています。
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こちらも是非ご一読ください。

適切な治療を行えば、多くの症例で症状が緩和されます。症状が悪化する前に、行動診療を行っている獣医師にご相談にお越しください。わからないこと、不安なことがあれば、当院にお気軽にお問合せください。
(ぎふ動物行動クリニック 獣医行動診療科認定医 奥田順之)
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柴犬の脳の特殊性

柴犬はオオカミに最も近い犬種と言われています。

世界には400種とも700種とも言われる犬種が有りますが、それを遺伝的な距離で二つのグループに分けると、『柴犬をはじめとした日本犬グループ』と『その他すべての犬種のグループ』に分けられるくらいです。

柴犬には常同障害と呼ばれる尾追い行動がよく見られます。詳しくはリンクをご参照ください。
https://tomo-iki.jp/shiba-problem/1553/

この尾追いの原因の一つは、脳内ホルモンのセロトニンであると言われています。
尾追いの常同障害ある犬にセロトニン代謝を調節する薬を投薬すると改善することが多くあります。

このセロトニン、感情のブレーキとも言われるホルモンで、攻撃性にも影響を与えます。
柴犬に攻撃行動が多いのは、セロトニン代謝や、その他の脳の受容体の多型なども関係があるのではないかと考えています。

セロトニン以外では、興奮性アミノ酸のトランスポーターの多型が柴犬の攻撃性に影響することが確認されています。
この興奮性アミノ酸のトランスポーターの多型は盲導犬では攻撃性ではなく活動性に影響するとのことでした。

このように、特に柴犬では脳の機能が攻撃性の発現に大きな影響を与えています。

てんかんの可能性もある

また、別のある研究では、大学病院を受診した攻撃行動のある犬の脳波を計測したところ、棘波と呼ばれるてんかん症例に特徴的な脳波が約9割の個体で確認され増した。そして、それらてんかん体質のある個体に、抗てんかん薬を投与したところ、そのうち8割で効果が認められたとのことでした。

つまり、攻撃行動には、てんかんの様な脳の機能的な異常が関連していることが多くあるということです。

イングリッシュスプリンガースパニエルの激怒症候群(レイジシンドローム)と呼ばれる攻撃行動は、前兆が全く見られない状態で突然起こる特発性の攻撃行動とされますが、激怒症候群と診断された個体中に、てんかんの焦点性発作が含まれていたという報告もあります。

しつけの問題ではなく、てんかんだったとすれば、しつけではなく投薬が適切な対処になると言うことがかなりの数潜在しているのです。

しつけの前に、脳の機能の異常を疑う

いくら
『上下関係を教えたい』と思っても、
『リーダーになりたい』と思っても、

脳の機能のレベルで異常があればうまく行きません。

心身の異常がある場合は、どのような異常が、どのような原因で発生しているか調べ、適切な投薬を含む治療が必要となる事があります。

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咬む柴犬の飼い主の皆様、諦めないで、行動学を専門にしている獣医師の診察を受けてみてください。もし近くにいなければ、お気軽にお問合せください。オンラインでの相談も対応や、近隣で行動学をやっている獣医師の紹介も行っております。

(ぎふ動物行動クリニック 獣医行動診療科認定医 奥田順之)
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本サイト主宰ぎふ動物行動クリニック院長奥田順之獣医師著
“動物の精神科医"が教える 犬の咬みグセ解決塾