犬の認知症を発症した、17歳の老犬

概要

犬にも認知症があることをご存知でしょうか?犬の認知症では、「昼夜逆転して、夜中でも吠え続ける」「徘徊し続けたり、立ち往生したりする」「14歳過ぎてから攻撃的になった」などの症状が見られ、症状がひどい場合には、飼い主が耐えられず、保健所に飼育放棄してしまうケースもあります。
ぎふ動物行動クリニックでは、こうした飼い主と犬を救うため、「犬の認知症セミナー」を12月12日に初開催いたします。犬の認知症がどのようにして起こるのか解説すると同時に、漢方薬や西洋薬による薬物療法、行動療法・環境療法による、症状の緩和法をご紹介します。

セミナー概要

日時

2019年12月26日(木)
14:30~16:00

場所

ぎふ動物行動クリニック
(岐阜県岐阜市岩地2-4-3)

講師

奥田順之
獣医行動診療科認定医/ぎふ動物行動クリニック院長

申込

058-214-3442
又は
info@hasc02.sakura.ne.jpより

犬の高齢化による問題

人の高齢化と同じように、犬も高齢化社会が進展しています。2010年~2018年の間に13.9歳から14.3歳まで延びました(全国犬猫飼育実態調査より)。人間に換算すると、ほんの10年で2歳ほど平均寿命が延びたことになります。
ぎふ動物行動クリニック(運営:NPO法人人と動物の共生センター)は、犬猫の問題行動の治療と飼い主の支援に取り組んでいますが、「昼夜逆転して、夜中でも吠え続ける」「徘徊し続けたり、立ち往生したりする」「14歳過ぎてから攻撃的になった」という相談が数多く寄せられています。
これらの症状は、犬の認知症・痴呆によって引き起こされるものですが、犬にも認知症があるということを知らない飼い主も多く、どこに相談したらいいかわからず、困り果ててしまうこともあります。場合によっては、吠え続けるため、保健所に飼育放棄してしまうケースもあります。

犬の認知症の症状

(表現に関して)
 犬の認知症は、正確には、高齢性認知機能不全と言います。かつては犬の痴呆と呼ばれていたこともありますが、現在痴呆という表現は使われなくなっています。ここでは慣用的に犬の認知症と表記します。

犬の認知症では、DISHAの5徴候と呼ばれる行動変化が起こります。

Disorientation
見当識障害
コーナーに入って出て来れなくなる(後ずさりできない)、家の中で迷う、庭で迷うなど。

Interaction
相互反応の変化
飼い主さんや同居動物との関わり合いの変化。飼い主が帰ってきたときに喜んでいたのに喜ばなくなったなど。

Sleep
睡眠と覚醒の変化
昼夜逆転、夜に起きて活動する(夜泣き・夜吠えるなど)、昼ずっと寝ているなど。

Housetraining
家庭でのしつけを忘れる
トイレのしつけを忘れる、台所など入ってはいけない場所に入らなかったのに入るようになった、など家庭内のしつけを忘れてしまう。

Activity
活動性の変化
臭いを嗅ぐ、毛づくろいをする、食べることにすら関心がなくなってしまう。目的もなく歩き回る常同障害を併発することもある。

 診察では、これらの症状を確認すると同時に、身体機能の問題など、認知機能の低下以外の問題がないかどうか調べていきます。それらの情報を元に、認知症であるかどうか診断していきます。

詳しくは、こちらからご確認ください:http://hasc02.sakura.ne.jp/tomo-iki/dementia/1829

犬の認知症の治療

 犬の認知症は、加齢性の変化であり、現代の科学では治すことはできません。しかし、症状を緩和させ、飼い主と犬のQOLを維持・向上させることはできます。治療には、動物行動学に基づいた、環境修正、行動修正、薬物療法を行うことができます。

治療対象

  • 昼夜逆転して、夜間に吠え続ける
  • 同じ場所をウロウロ動き続ける
  • 狭い場所に入り込み出てこれなくなる、立ち往生してしまう
  • 高齢になってから、不安感が強くなり、良く吠えるようになった
  • 高齢になってから、飼い主に対して攻撃的になった
  • 獣医動物行動診療科認定医とは?

    獣医行動診療科認定医とは、日本獣医動物行動研究会が実施する認定医制度に合格した獣医師を指します。2013年に創設された認定医制度は、2019年までに9名の獣医師を認定医として認定してきました。以下、その定義を紹介します。

    獣医動物行動学(動物行動学および臨床行動学)に精通し、行動診療を行うために必要な専門知識と技術、十分な診療経験を有しており、獣医行動学分野における最新知識の取得に務め、行動診療を通して動物と飼い主の幸福増進に貢献するとともに、獣医動物行動学分野の発展に寄与し、わが国における同分野の啓発と普及に貢献するための努力を惜しまない獣医師

    奥田順之プロフィール

    獣医師(獣医行動診療科認定医)
    ぎふ動物行動クリニック院長
    鹿児島大学獣医学部講師(動物行動学)
    帝京科学大学アニマルサイエンス学科講師(ペット共生学)

    犬猫の殺処分問題・共生問題の解決を目指し、2012年NPO法人人と動物の共生センターを設立。犬と人の関係性の悪化からの飼育放棄を減らすために、ドッグ&オーナーズスクールONElife設立。2014年ぎふ動物行動クリニック開業。2017年獣医行動診療科認定医取得。スクール全体で年間約4000回組(のべ数)の犬と飼い主の指導を実施。行動診療として、年間100組以上の新規相談があり、薬物療法を併用した改善を行っている。
    書籍の執筆活動も活発に行っており、愛犬雑誌・獣医系雑誌に多数寄稿。著書(単著)に、「動物の精神科医が教える 犬の咬みグセ解決塾(2018)」、「ペット産業CSR白書(2018)」。