ONELife

イベント・セミナー

問題行動症例

syourei

抱っこできない、寝ている犬に近づくと唸る

投稿日:2016.02.15|問題行動症例 ,柴犬しつけ&噛み癖研究所

ご相談の主旨

家族に対する咬みつきに問題を感じ、ご相談いいただきました。

本日お知らせいただいた内容(行動の経歴)

Fちゃんは、3才の柴犬の男の子で、3ヶ月の頃にペットショップさんから迎えました。幼いころから甘噛みはあり、唸ったりすることが多く、ゴハンに対する執着がありゴハンのお皿を守って唸ることもあったとのことでした。

1歳になるまでは、身体を触ることは問題なくできていたものの、嫌がるそぶりを見せていたため、いっぱい触って馴らそうとしていたとのことでした。服を着せたりすることもできていたとのことでした。

1歳の頃からゴハンを守る傾向が強くなったため、お皿を持ちながら与えるようにしていたとのことでした。

はじめて血が出る程咬んだのは1歳の頃で、飼い主さんがFちゃんが寝ていたので触っていたところ、唸りだし、それでも触っていたところ強く咬みつき血がたくさん出たとのことでした。

それをきっかけとして、咬みつきの回数が増えていったとのことでした。現在は、撫でる、抱っこする、寝ている犬に近づく、ブラシをかける、タオルで拭く、食べている時に近づく、落ちたものをひろうなどの場面で咬みつきが発生しているとのことでした。撫でる、抱っこするなどは毎回必ず咬むわけではなく、機嫌の良しあしによって影響されるとのことでした。特に抱っこは、散歩から帰ってきた時に、すぐに抱っこしようとすると咬もうとするものの、しばらく庭で遊ばせた後、Fちゃんが自分から家の中に入ろうとした時であれば咬みつかないとのことでした。

その他に気になる行動として、自分の手を赤くなるほど舐めてしまうことや、お尻も赤くなるほど舐めてしまうことがあるとのことでした。また音に敏感で非常に怖がりであるとのことでした。

診断とお話し

これまでの経緯と問題行動の発生している状況、カウンセリングの様子から、柴犬に良くみられる神経質な傾向を背景に持つ、恐怖性/防衛性攻撃行動と考えられます。

今回特に身体的な異常については、可能性は低いと考えられますが、身体疾患が潜んでいる可能性はゼロではありません。身体の問題で今回のような問題行動が起こる場合もあり、あるいは問題行動を増悪させている場合もあります。どんなワンちゃんでも年に1回は、健康診断は行った方がいいですので、機会を見つけて、かかりつけ医にて全身スクリーニング検査を実施することをお勧めいたします。

今回の問題行動が起こった背景には、もともとのFちゃんの神経質な傾向が大きく影響している様に思われます。またこれまでの接し方(小さな頃に触りすぎてしまった)や生活環境(普段から自由すぎる+自分ひとりで休む場所がない)も関係していると考えられます。

手やお尻を執拗に舐める行動は、常同行動と言われる行動で、無目的に執拗に繰り返してしまう行動と考えられます。常同行動が繰り返される状態を常同障害と言います。常同障害では、脳内ホルモンの一種であるのセロトニンが枯渇していることが指摘されています。セロトニンは心のブレーキとも呼ばれ、枯渇すると攻撃行動も発現しやすくなります。

柴犬ではもともとセロトニンの少ない傾向のある犬が多く、常同障害や攻撃行動が発生しやすい犬種です。Fちゃんもそうした傾向があるタイプですので、お薬を併用しながら、トレーニングを実施していくことで、問題を改善していくことが出来るかもしれません。

今後の治療法・対処法

1. 環境の改善
自分ひとりで休める場所としてサークルかゲージを用意し、その中で生活させるようにしましょう。

2. ハウスリード
サークルやゲージから出すときはハウスリードをつけ、行動を管理できるようにしておきましょう。

3. 撫でない
現在も撫でていないかと思いますが、まずは咬まれないことが第一ですので、撫でないようにしましょう

4. ゴハンのあげ方の変更
ゴハンを手から与えるようにしましょう。手に対する嫌悪感がありますので、普段から手に近づくようにしていきます。

5. 1日2回30分の散歩
1日2回30分散歩に行き、十分に運動と精神的刺激を与えてあげましょう。

6. 信頼関係づくりのトレーニング
報酬(おやつ)を用いた簡単なトレーニングをじっししていきましょう。難しいことをやるのではなく、簡単な成功体験を積ませていくことが大切です。飼い主さんが犬にとってわかりやすい人間になってあげることで、犬も関係を築きやすくなります。トレーニングは繰り返すことで、犬は飼い主さんのことをある程度受け入れることが出来るようになります。毎日続けることがポイントですので、再診の時に詳しく説明いたします。

薬物療法について

今回、薬物療法として、塩酸フルオキセチンを使用し、反応を見ていきましょう。

◎ 塩酸フルオキセチン

フルオキセチン~行動の治療で使用される薬剤~

飼い主さんへのコメント

防衛的な攻撃行動の改善では、絶対に咬まなくなるようにすることではなく、咬まなくてもいい生活を送らせてあげることが何より重要です。改善には時間と忍耐と飼い主さんの適切な愛情が不可欠です。適切な愛情とは、時には毅然とした態度で臨むことも含まれます。

改善に向かっていく過程では、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進んでいく印象を受けます。改善には年単位の時間が必要な場合もあります。しっかりサポートさせていただきますので、焦らずゆっくり向き合っていきましょう。

レッスンの中でわからないことや改善の状況など、なんでもご相談ください。しっかりサポートして参りますので、一歩ずつ進んでいきましょう。

その後の経過1

飼い主さんが薬物療法に抵抗があったとのことで、カウンセリング後2カ月は前と変わらない生活をしていたとのことでした。

2カ月経ち、咬みつきが複数回起こっていたため、家族で話し合い、現在投薬を開始し、反応を見ている段階です。

その後の経過2

2月に再診にお越しいただきました。薬物療法を開始してから、唸ることが少なくなり、抱っこすることが出来るようになったとのことでした。これまでは、テーブルのしたで寝ている時に家族がテーブルに座ろうとすると怒っていたものの、それがなくなったとのことでした。

飼い主さんも、その変化に驚いていましたが、非常に良い改善が見られたと言えます。

随時更新していきます。