問題行動の治療でよく使用されるフルオキセチンについての紹介です。

塩酸フルオキセチンは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と言われる抗うつ剤で、脳内のセロトニンの有効活用を促し、崩れたホルモンのバランスを整えるお薬です。体重1キロあたり1回1㎎を1日1回飲ませます。

セロトニンは、脳のブレーキとも言われる脳内ホルモンで、恐怖症や不安が根底にある問題行動がある場合には、このセロトニンが少なくなってしまっている可能性が多くの研究で示唆されています。

このお薬の特徴としては、多くは1~2カ月飲ませないと効果が見られないことです(短期間で作用がでる場合もあります)。他の対応と並行して行いますので、焦らず様子を見るようにしてください。フルオキセチンは場合によりますが、使う場合は、少なくとも半年程度続けた方がよいと考えられます。犬によって年単位で投薬が必要になる子もいますし、生まれつきセロトニンが少ない犬の場合は一生飲ませる必要があることもあります。他の対応が総合的に効果を発揮して、薬に頼らなくても安心して過ごせるようになれば、徐々に減らしていきます。但し、突然薬をやめてしまうと、離脱症候群と呼ばれる、一種の禁断症状のような状態になり、状態が余計に悪化する可能性がありますので、獣医師の指導なく突然薬をやめることはしないでください。

副作用は、食欲低下と眠気です。これは良く見られる副作用で、数週間でなんとか落ち着くことが多いです。大きな副作用としては、胃腸障害で、食べない、嘔吐する、下痢が続く、便秘、けいれん等があります。こうした大きな副作用が出た場合はご連絡ください。対応を検討します。

行動が落ち着いてきたら、徐々に減らしていくことになりますが、長期間続けなければならない場合もあることをご了解ください。

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(ぎふ動物行動クリニック 獣医行動診療科認定医 奥田順之)
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